阪神の成績は超レア 得失点差はマイナス、勝率は5割越え
これらの例から分かることは「得失点差の割に勝率が良い状態」というのは長く続くものではないということだ。後半戦で前半と同じかそれ以下の得失点差だった3チームは、前半戦並みの勝率を残せず、後半戦に得失点差を改善させた2チームは、さらに勝率を上げた。つまり前者の前半戦の好成績は、得点と失点のかみ合わせがチーム力以上にうまくいっていた状態で残されたものであり、チーム力の変わらなかった後半戦ではうまくいかなくなってしまった。後者の場合、チーム力以上に勝てた前半戦から、後半戦ではチーム力を上げてより勝てる状態になったのである。
今シーズンの阪神の場合、仮に後半戦でここまでと同じように得失点差がマイナス70近くなりながら、勝率が.500だったとすると、最終成績は得失点差は約マイナス140で、勝率は5割強ということになるが、それがいかにあり得ないことなのかはここまでで見てきたとおりだ。もしそんなことがあり得れば、プロ野球以上最も効率的に勝利を挙げ続けたチームということになるが、それが難しいことは、前述のヤクルトなどのケースから明らかだ。ここから勝率をキープし、上昇させるためには2010年の中日のように、残りの試合での得失点差を改善させる必要がある。2004年ヤクルトを限界値ととらえれば、阪神は残り試合の得失点差を少なくとも±0で乗り切らなければならない。そのためには相当なチーム力の改善が必須となる。具体的にはマートン、ゴメス、鳥谷の復調、福原以外の中継ぎの台頭と5~6人目の先発の整備、ということになるのだろうが、果たしてこれらの難題をクリアすることはできるのだろうか。 (株)日刊編集センター