“いじめ、引きこもり、家庭内暴力” 負の連鎖から抜け出したモデル・よしあき――きっかけは原宿への憧れ #今つらいあなたへ
「原宿」への憧れが日本へ戻るきっかけに
――その後、日本に戻ろうと思った理由は? よしあき: 台北では一日中ずっとパソコンをしていましたね。そんな時に当時日本で流行っていた“ジェンダーレス系男子”といわれる方たちのSNSを見て、「いつか僕もこういう人になりたい」と思うようになりました。それがきっかけでファッションの街である「原宿」にも憧れを抱くようになったんです。 みんなが原宿に買い物に行って好きな洋服を着て、キラキラしている感じがすごく羨ましかったですね。きっと原宿への憧れがなかったら、毎日ネガティブなことしか考えてなかったと思います。自分の好きなファッションが生きる希望という感じでした。それで中学校2年生ぐらいの時には、自分の感情もコントロールできるようになりもう暴れることがなくなったので、日本の高校に行きたいと親に伝えて、日本に帰ってくることができました。 ――日本に戻ってきてからの生活は? よしあき: その時の気持ちは「早く普通に戻りたい。早くみんなみたいに楽しい生活を送りたい」という感情が大きかったので、高校に入学するにはどうすればいいのかみんなで相談して、フリースクールに通うことにしました。 ――引きこもりになった小学4年生以来、再び集団と関わる環境は大丈夫でしたか? よしあき: もちろん怖さもあったけど、それ以上に不登校である当時の状況のほうが怖かったんです。基本的に家族としか会話することがなかったので、家族以外の人と会話をするのもすごく新鮮に感じました。「意外と僕も人と会話できるじゃん」と思えましたし、そんな小さいことがどんどん自分の自信につながっていく感じでしたね。フリースクールで自信がついて、やっと原宿にも買い物に行けるようになりました。 ――つらい日々を乗り越えて今どんなことを感じていますか? よしあき: フリースクールの先生が「人生どうにでもなるから。つらいことは必ず終わる。だって楽しいこともあっという間に終わるじゃん」と、言っていた言葉がとても印象的でした。当時は半信半疑でしたが、今こんなにポジティブに楽しく生きられているので、確かにそうだなと実感しています。 それと今改めて思うのは“休むこと”はとても大事ということ。僕もすごく焦っていたけれど、そのせいで自分の感情をコントロールできなくて家族に手をあげてしまった。お母さんやお姉ちゃんを蹴飛ばしたシーンが今でも頭に焼き付いていて、考えてしまうと涙が出るくらい胸が痛くなってしまいます。それなのにお母さんとお姉ちゃんはそんなことはなかったかのように、全く触れてこないんですよね。だから、今の僕にできることは、申し訳ないと思うことよりも、楽しい姿をたくさん見せることだと思っています。 ====== よしあき 2000年生まれ。モデル、タレント。テレビ番組の街頭インタビューがきっかけでモデルとしての活動を始め、17歳にして東京ガールズコレクションやドルチェ&ガッバーナのショーに出演。2019年にはパリ・コレクションにディオールのゲストとして参加、そのほか数々のファッションブランドのアンバサダーとして活動。姉ミチとともに「オシャレすぎる姉弟」として、10代を中心にファッションアイコンとして圧倒的な支持を集め、姉弟でのSNS総フォロワー数は250万人を超える。