<高校サッカー>復活した河崎監督の名采配で星稜が連覇へ逆転発進!
2年ぶりに味わう全国大会の緊張感。前半13分に玉野光南(岡山)に先制を許し、攻めてはなかなかチャンスを作れない試合展開に、星稜(石川)を率いる河崎護監督は逆に心地よさを覚えていた。 「最高のストレスですね。けっこう落ち着いていましたけど、やはり失点した後は戦況を自分なりに見つめていたというか。ああいう痺れを久々に感じました」 2日にNACK5スタジアム大宮でキックオフを迎えた全国高校選手権の2回戦。緒戦を迎えた星稜は17年連続の出場となるが、1985年から指揮を執る56歳の大ベテラン、河崎監督は悲願の初優勝を果たした前回大会のベンチにいなかった。 助手席に乗っていたワゴン車が愛知県内で交通事故を起こし、病院へ緊急搬送されたのが大会開幕を直前に控えた2014年12月26日。命に別条はないと診断されたが、その後に小腸に内出血を起こしていることが判明。緊急手術が施され、大会の指揮を木原力斗コーチに託した。 選手たちは「監督が帰ってくるまでは負けられない」を合言葉に勝ち抜き初優勝。しかし、3月の卒業式で胴上げしたいと当時の3年生たちが望んでいた指揮官の復帰は、昨年6月に再手術を受けたこともあって大幅に遅れたという。 やっと大舞台に戻ってきた百戦錬磨の指揮官は全国大会に向けて周到に秘密兵器を準備していた。 玉野光南戦で先発起用された11人は、ある意味で相手にもサプライズを与えていた。石川県大会で主軸を担った村中龍仁(3年)と窪田翔(2年)の2トップはベンチスタート。最前線には県大会では左右の両サイドバックの控えだった身長166cmの小兵、加藤貴也(3年)が配置されていた。 昨年9月。久しぶりに練習を見た指揮官は、そのチームに「お子ちゃまチーム」と命名した。 「自分勝手なプレーばかりしていたんですよ。1年前にやっと(優勝することが)できたチームが、半年くらいでこんなに変貌しているのかと。とにかくビックリしました」