打率ビリ争いの阪神・大山がえこひいきされる理由 「メジャーだったら即降格」
“3番問題”が、リーグ首位の阪神を悩ませている。
5月14日付サンスポは、 〈打撃好調な選手を起用しても、なぜか3番だと快音が響かずに打線のつながりを欠いてしまう〉 と説明しているが、 「“なぜか”じゃなくて、理由は明白なんですよね」 とライバル紙記者が笑う。 「4番の大山悠輔(29)が不振なので、相手投手は3番打者を四球覚悟で厳しく攻める。だから好調な選手も3番だと打てなくなるわけ。3番問題と言いますけど、実は“4番問題”なんです」
打率ビリ争い
大山の打率は2割1分2厘で、セ・リーグの規定打席到達打者でワースト2位(5月27日現在)。最下位のヤクルト中村悠平は捕手だから許せるが、4番、それも首位チームの主砲がビリ争いとはいただけない。 ちなみに、ブービーは同じく阪神の5番打者、佐藤輝明(25)だった。そう“5番問題”も深刻だ。15日、岡田監督は佐藤を2軍に降格させた。 「同じ論法で“5番がダメだから4番もダメになる”とも言えそうですが、4番にそんな言い訳は許されない。むろん“4番大山”が怖い時だってありますよ。強い3番と5番に挟まれると、彼はパワーアップする」 だが、助さん格さんがいなければ黄門様とてただのお爺さん、なのである。
なぜ大山をえこひいき?
そもそもシーズン序盤の大山が頼りないのは、今に始まったことではない。 5年前、阪神ファンの子供が春をお題に詩を作った。 〈ダブルプレーにキャッチャーフライたまに相手のエラー でもだいじょうぶ春だ 春の大山 打つんだ〉 これがSNSで大バズり。応援ボードでも愛用される「春の大山」は、もはや甲子園の季語と化している。 そんな大山だが、岡田監督は決して外さない。なぜそんなにえこひいきするのか。 「彼は、早めに球場入りし黙々と練習に励む。試合では、明らかなアウトでも一塁まで全力疾走。要するに一生懸命なんですよ」 一生懸命だから試合に出す? 部活じゃあるまいし。 「そりゃ、メジャーだったら即降格ですよ。でも日本ではそれが美徳とされる。だいたい今の阪神には4番を託せる選手が他にいない。監督にとっても“使う言い訳ができる4番”は好都合なんです」 でもだいじょうぶ もうすぐ夏だ 夏の大山 打つんだ。 「週刊新潮」2024年5月30日号 掲載
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