少年院の子ども達の悲痛な声「親に自尊心を無視された」
非行は親を許せない子どもの行為
プライドを捨てるのは、外に向かってではありません、自分の子どもに対してだけプライドを捨てればいいのです。ほんの少しだけ、大らかに考えてみればできることではないでしょうか。 非行というのは案外、喜連川少年院の少年たちがいっていた「子どものプライドを守るために、自分の顔に泥を塗られるなんてことは耐えられない親」の存在に原因があるのかもしれません。 ある自立支援センターの職員の方から、こんなことを聞きました。 少年たちをセンターから送り出すときには、「もう戻ってくるんじゃないぞ」という気持ちで祈りをこめて送り出すけれども、「この子は危ない」「あの子は絶対大丈夫だ」ということは、長年の勘でわかるというのです。何がもっとも重要な鍵かというと、「この子はもう親を許せるようになっている」、この1点にあるのだそうです。 重みのある言葉です。喜連川少年院の方も、「非行というのはある意味、親を許せないと思っている少年の行為」だとおっしゃっていました。それがやがて、社会が許せない気持ちに発展していくのです。やり場のない不満、当たりどころのない怒りがふくらんで、社会に向かっていくのだと思います。 喜連川少年院にいたある少年の言葉が忘れられません。 「ここを出て一人前になったらぼくは少年院で働く人になりたい」すばらしいと思いました。きっと、少年院でとてもすばらしい教官に出会ったのでしょう。 子どもの気持ちをよく聞いて、自尊心を守り、立ち直っていく姿をじっと見守ってくれる教官に、「自分はあの人のようになりたい」と思ったのです。こういう人に出会うことが大切です。大きくなったらこの人のようになりたい。そんな希望がもてる大人がまわりにいることは、なんてすばらしいことかと思います。 【まとめ】子どもの自尊心を守ってあげられるのは親だけです。どうぞ、わが子のために自分のプライドを捨てられる親でいてください。
佐々木正美