辺見えみりさんの新ブランド「コンテ」。50代の私が、いま一番気になる服の魅力とは?【松井陽子】
「スタッフの今日のコーデ」の私服姿にファンの多いエディター・松井陽子さん。記事の中でも松井さんのスタイリングにもよく登場する、「もはや体の一部のよう」という最愛のファッションアイテムの魅力をお届けする連載企画も、いよいよ今回の取材が最後となります。 【写真で見る】おしゃれ!辺見えみりさんが着るコンテの秋冬着こなし術 松井さんがお話を伺ったのは、この秋新たにデビューしたばかりの「conte(コンテ)」をディレクションする辺見えみりさん。早くもミモレ世代から熱い注目を集めているブランド、その魅力について辺見さんにゆっくりとお話を伺いました。服づくりへのこだわりや想い、そして辺見さんのおしゃれの現在地についてもたっぷりとお届けします。
凛としていて、自然体柔らかな雰囲気の女性像に惹かれて
初めてショップを訪れた時にピンと響いたのは「趣味のいい大人の女性」というイメージでした。きっと生き様にも輪郭があって、好きなものも明確。都会的で存在感は強いのに、柔らかで、しなやか。どこか余裕があって、楽しむことも忘れない……。その女性像に、私はとても惹かれてしまったのです。「もし会えるなら、お友達になりたい!」とそんな具合に。 そのショップは、9月にオープンしたばかりの「conte(コンテ)」。私にとって、久しぶりにときめきがギュッと詰まった、そんな特別な空間です。新築のお家におじゃました時のような“新しい”香りのする青山店で、ディレクターである辺見えみりさんに今回お話を伺う機会に恵まれました。 「そう思っていただけたら、本当にうれしいです!」と、えみりさん。「このブランドを作る時に、最初に『好きなものがいっぱいある人』とか『大人になってもいろんなものに興味を持っている人』と、女性像をかなり具体的にイメージしていたんです」 「大人になっても興味を絶やさない」ーーその興味とは、趣味や知的好奇心などもそうですが、おしゃれへの好奇心や自分のプレゼンテーション、例えば、ヘアスタイルや、ジェエリーづかい、着こなしなどもそう。でも、大人ほど、その挑戦や変化が”大きなこと”に感じてしまうもの。 「大きいチャレンジって、年齢を重ねると怖くなりますよね。私自身も本当にそうなんですよ。でも、変化したいという気持ちはなんとなく奥底にある。コンテの服を着ることで『こういうものに挑戦できた』とか『この色も、ここのなら着られる』って、そんな気持ちになってもらえるようなブランドにしたかったんです。”小さく”挑戦できる”ということは、一番最初に思い描いていました」。 「自分を変えることなく、変わる」。矛盾しているようですが、そのくらいの微差であっても、気持ちを込めたその変化は、きっといろんなことに作用して、上向きに引き上げてくれるもの。 「年齢的には、私よりもちょっと上の女性を想像しています。もちろん私より若い方にも着てもらえるものですが、次の10年、20年を想像できるといいなって思いながら作りました。それこそ、私が60歳になっても違和感なく着られるものでありたいと思っているんです」と、えみりさん。 そうと聞いて、納得。50代の私が、思わずときめいたのは、まさにえみりさんの思い描いたイメージと私の気持ちがぴたっと重なっていたから。答え合わせができた気分でした。