辺見えみりさんの新ブランド「コンテ」。50代の私が、いま一番気になる服の魅力とは?【松井陽子】
「”服づくり”を考えるのが大好き。素材からイメージを膨らませます」
えみりさんのコンテの服づくりは、素材ありき。まずはブランドのチームと、素材屋さんが持ってきてくれた大量の生地から、気になるものをどんどんピックアップして、どの生地をどんなデザインに乗せていこうか、というところから始まるのだそう。 「素材の段階で『この生地だったらこれができそう』って頭の中でイメージがどんどん膨らんでいきますね。このキュプラ混のシルクブラウスがまさにそう」 「シャツは薄手のものが好きなのですが、意外と着られる期間が短いんですよね。繊細でも一枚で着られて、その後にニットに重ねられるものをシアーな素材で作ってみたい、というところから生まれたのがこのシャツ。パン粉のようなシャツがあったらいいなって思ったんです」。 ……パン粉って? あのパン粉? ですか。 「そうです。ハンバーグを作るときのあのパン粉です(笑)。"つなぎ"役になってくれる、そんな気持ちなんですけど、ね。イメージを共有して『はい! わかりました』ってデザインチームがそれぞれの理解でシャツ作りを始めて、完成したものがこれ。このシャツ、この後出てくるニットにも全部合うんですよ。一枚シャツが入るだけで1コーディネート別のものを作ってくれるくらい、印象を新しくしてくれるんです。デザインも、袖口はカフスがなく、成り行きな感じ。透けすぎず、でもシアー感はあるので、冬のマットなウールと合わせた時に、センシュアルさとか抜け感が自然に生まれるんです」。 えみりさんは、カーディガンのインナーに。ニットパンツも同系色のグレーで、セットアップのように。シャツの代わりにカットソーだったら、全然違いますよね。女性らしさも上品さも加味され、ぐっとセンシュアルに。パンプス合わせも、どこか余裕が感じられて、とっても素敵。すぐに真似してみたくなります。 「私って、どちらかというと、おしゃれをするということよりも、生地を見るとか、お洋服を作るその工程の方が好きなんです。まだ出来上がっていないのに、頭の中で形作られていく瞬間が最高に楽しくて。そして、サンプルができて、みんなに似合った時。みんなに似合うのって、ディレクターとして絶対なんです。『いい女に見えるよー!』ってチームのみんなと喜び合える時、その楽しさは、本当に幸せです」