「岐阜」でタワマンバブルも…父は大手自動車メーカー勤務、世帯収入1,000万円の「パワーカップル」29歳・公務員夫が絶望したワケ【FPが解説】
タワーマンション建設を規制した神戸市
2022年7月から、神戸市はJR三ノ宮駅周辺でマンション建設を規制しています。 ・JR三ノ宮駅周辺においてマンションが建設できなくなる ・その周辺部分も、住宅部分の容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)が最大400%までに制限される(敷地面積1,000m2以上の場合) 実質的な「タワマン規制」とされる内容です。これは神戸市が三ノ宮駅前の将来の荒廃を危惧していることを理由として挙げています。JR三ノ宮駅から中央区全体は神戸でもっとも華やかな商業地、観光地です。買い物やグルメを楽しめる、神戸らしさを誇るお洒落な繁華街であることに異論はないでしょう。しかし神戸市もまた人口が減り続けている都市です。 その場所にタワーマンションが建ち過ぎると、短期的には人口が増えますがやはり減少に転じていき、高齢化が進みます。修繕積立金が不足し、適切に維持できなくなった建物が「廃棄物」として神戸市のど真ん中に放置されるのではないかと神戸市長が説明しています。また、これからの時代は「新しく作り続ける時代」ではなく、「いまあるもの(住宅ストック)を活用する時代」ではないかということも、神戸市が提言しているのです。人口約149万人の大都市であるはずの神戸市が、都市計画上の危機感を強く表明していることに、多くの人が驚きました。 地方においてタワーマンション購入を検討している個人は、もう少し視野を大きくとってリスクを精査する必要があるでしょう。滅びゆく街と運命をともにする必要はないのです。
「僕たちパワーカップルだよね?」流行りの言葉に踊らされるアラサー夫
夫Fさん 29歳 地方公務員 年収420万円 妻Kさん 29歳 地方公務員(看護師) 年収550万円 子供なし 預貯金 550万円 FさんとKさんは、岐阜市内に住む公務員夫婦です。世帯年収は970万円。今後の昇給を考えると来年にも世帯年収は1,000万円を超えるでしょう。 夫Fさんは岐阜市内から名古屋市まで通勤しています。電車に乗るのはあまり好きではないことと、岐阜駅まで行くのが億劫な場所に住んでいるため自家用車での通勤です。妻Kさんは岐阜市郊外の出身です。看護師として勤める病院が岐阜市内にあるため新卒時に引っ越しました。愛知県豊田市生まれの夫Fさんは結婚を機に岐阜市に転居。2人は現在、岐阜市内の賃貸物件に住んでいます。 最近の関心ごとはマイホームです。妻Kさんは岐阜市内に戸建ての注文住宅が欲しいと思っています。80坪くらいの土地、延床面積40坪くらいの二階建ての建物をイメージしているようです。妻Kさんが考える予算は、土地、諸経費込みで5,500万円程度。ペアローンであれば借り入れは可能と考えています。 一方、夫Fさんの要望はまったく違います。駅前に建設が予定されているタワーマンションが欲しいと思っているのです。Fさんは父親が大手自動車メーカーの社員であったことから、幼少期から社宅で育ちました。そのため、土地付きの戸建てにはこだわりがありません。それに、夫Fさんは妻が呆れるほどの見栄っ張りなのです。 「僕たち、パワーカップルだよね? 戸建てよりタワーマンションがいいよ」と夫Fさんが言います。 妻Kさんはそれを聞くたびにため息が出ます。流行り言葉をすぐに使いたがり、Instagramを見ては洋服や靴を欲しがり、他人からの目線をとにかく気にする夫Fさんは日ごろから無計画な浪費が止まりません。父親が大手自動車メーカーに勤務しているにもかかわらず、乗っているのは7年ローン・頭金なしで購入した高級ドイツ車です。腕時計は妻Kさんですら知っているブランド「ロレックス」。 「そんな時計と車で通勤して、職場の人はどう思っているの? 公務員でしょ……?」と妻Kさんは心配しますが、夫Fさんは気にしていない様子。同級生はどの企業に勤めて年収はいくらだとか、同僚がなんの車を買ったとか、そういう話ばかりをするのが、妻Kさんにとっては苦痛です。夫の分不相応な浪費のせいで、家の貯蓄は550万円しかありません。それも妻が貯めたものであって、夫は貯蓄ゼロ、借金は総額800万円近くもあります。そんな夫Fさんですから、タワーマンションが欲しいと話すのを聞くと妻Kさんは鳥肌が立つほどの嫌悪感を覚えることもあります。 「なぜタワマンなの? またいつもの見栄でしょ?」そう妻Kさんが言うと、夫Fさんは反論します。 「タワーマンションは資産価値があるの知らないの? 将来は買った値段よりも高く売れるんだよ。買えるのは富裕層とパワーカップルだけだから治安もいいよ」と夫。 「まるで岐阜の治安が悪いかのように言うけど、いつ危ない目に遭ったの。それに我が家は富裕層でもパワーカップルでもなく公務員です。資産価値で家を買うつもりもないし。一度買ったら老後まで住みたい」そう妻が反論します。 雲を掴むかのような実体のない話を繰り返す夫と議論をすると、妻Kさんはストレスでめまいがします。そこでファイナンシャルプランナーに相談して判断を仰ぐことにしました。
【関連記事】
- 「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
- 世帯年収1,330万円の30代夫婦、ドヤ顔で憧れの「湾岸タワマン」をフルローン購入。スカイツリーを窓から眺めニヤけるも…「住人の半数の正体」に唖然【FPが解説】
- 神戸市長「タワマンは将来の廃棄物」…市内JR駅前のタワマンを買う、年収920万円の40歳・気ままなおひとりさまに待ち受ける「絶望的未来」【FPが解説】
- マネーゲーム状態の「晴海フラッグ」、世帯年収1,500万円の30代パワーカップルの宮崎出身妻「喉から手が出るほどタワマンが欲しい」…衝撃の決着【FPの助言】
- 「タワマンを7000万円で購入した夫婦が…」銀行支店長の本音