「岐阜」でタワマンバブルも…父は大手自動車メーカー勤務、世帯収入1,000万円の「パワーカップル」29歳・公務員夫が絶望したワケ【FPが解説】
タワーマンションの将来
タワーマンションは「地上20階以上、高さ60m以上」であれば成立するかというと、そう簡単な話ではありません。タワーマンションに期待する資産性とリセールバリュー、ステイタス性、利便性をすべて叶えるためには次のようなポイントが備わっていることが必要です。 ・人口が増え続けている大都市のど真ん中にある ・将来にわたって生産年齢人口が分厚い都市にある ・職場に極めて近接している ・区分所有者は高所得者が大半で、高額な修繕費の負担ができる ・管理組合が機能している ・区分物件が投機対象にされていない 東京都港区にある1971年竣工のタワーマンションはこれらの条件が備わっていて、築50年を過ぎた今も驚くほど高額な価格を維持しています。また外国の例ですが、ニューヨークにある1884年竣工のダコタ・ハウスはいまも超高級集合住宅として成立しています。これは厳しい入居審査があることによって適切に維持されているからです。これと同じことを東京都以外に期待しても実現は困難です。人口が急速に減少していく社会では、「街全体がタワーマンションを維持していく力」が弱いからです。 地方都市の駅前タワーマンションは個人の家計だけでなく、都市計画にとって大きなリスクです。「タワーマンションができる→人口増→税収増」という流れは最初こそありますが、いずれその駅前でも人口が減り税収は下がります。その郊外ではかつて開発したニュータウンが高齢化によって空き家化が進行します。限界集落と化したニュータウンには学校や病院などのインフラが消滅し、より人口が減るでしょう。 駅前のタワーマンションは人口減とともに資産価値が下がることが想像できます。修繕積立金が不足していると管理組合が機能せず、さらに資産価値は低下。相続とともに賃貸に出されることが増えますが、資産価値が低いため家賃を高くすることができません。新築時に住んでいたような高所得者はいなくなり、高齢者と低所得者が住まう「スラム」と化していくかもしれません。 駅前を住宅地にすると、商業機能は大きくなりません。あくまでも住宅地としてのサイズに収斂されるのです。その住宅地が荒廃し出すと駅前は目も当てられない事態になってしまいます。 このような危機感を強く持っているのが神戸市です。
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