老舗アパレルが「株主ファンドと泥試合」の全容 経営陣の総取り換え提案、混乱のまま総会当日へ
SCが提案する取締役候補の中山氏は、ダイドーが展開するブルックス ブラザーズでCFOを務めた経験があるものの、従業員からの評判がよくないという。意見書では、中山氏が取締役になれば「事業面や職場で大きな混乱を抱えることになる」と主張した。 株価情報サイトに動画へのリンクを載せた広告を打つなど、拡散にも力を入れた。SNS上でも話題になり、6月26日時点で21万回以上再生されている。こうした情報発信に対する力の入れように、SC側は「費用の無駄」として反発している。
■法廷闘争にもつれる可能性も? 株主総会直前になっても応酬は収まる気配を見せない。6月21日、SCはダイドーが電子投票済みの株主に対して「(SCの提案に賛成した投票は)間違いではないか」と電話をかけたと主張する声明文を出した。事実であれば、株主総会の公正性を阻害する行為だ。ダイドー側はこうした行為を「一切していない」としており、双方の主張は真っ向から対立している。 この問題について、SCは株主総会に際して設置された総会検査役に報告したうえで、電話を受けた株主からは「裁判になった場合には協力する」という意向も取り付けたという。総会の結果次第では法廷闘争にもつれる可能性もある。
混乱の渦中で株主総会当日を迎えるダイドー。だが、今回のSCの株主提案がなければ、赤字を放置した経営陣はそのまま残留し、中計も公表されなかった可能性が高い。仮に会社提案が可決したところで、新経営陣には長らく染みついた赤字体質からの脱却という難路が待ち受けている。
高橋 玲央 :東洋経済 記者