老舗アパレルが「株主ファンドと泥試合」の全容 経営陣の総取り換え提案、混乱のまま総会当日へ
対するダイドーは5月20日、2027年3月期までの3カ年を対象にした中期経営計画を策定し、初めて公表した。2027年3月期に売上高360億円(2024年3月期は287億円)、営業利益15億円(同4億円の赤字)を目指すという。ブランド価値が失速しているニューヨーカーは売上拡大を目指さない一方、ブルックス ブラザーズでは新規出店やECへの投資を通じて成長を狙う。 直後の5月24日には、経営陣の刷新も表明した。コンサル会社のCEOであり、中期経営計画の策定にも関わった山田政弘氏を代表取締役CEO候補として提案し、同時に現在の社長らは経営から退くとした。
東洋経済の取材に応じた山田氏は「これまでマーケットに対する情報発信が足りなかった。中計は細かい数字を積み上げた必達目標だ」と話す。 ■SCの提案は「会社に失礼だ」 ただ、SC側は納得していない。 ダイドーが新取締役候補を発表後、即座に反対を表明。CEO候補の山田氏は兼職が多く、経営に専念できないうえに実績もないこと、コンサルとして利益相反関係にあることなどを指摘した。中期経営計画も実現性が乏しいとして、SCの株主提案に賛成するよう株主に呼びかけた。
様相は混迷の度合いを深めていく。ダイドーはSCの主張に対して反論する文書を発表。SCの株主提案こそが不適切な主張であるとして、株主に対し会社提案への賛同を強く呼びかけた。山田氏はSCの主張に対し、「正直言って会社に対して失礼だ。明確な事業計画もなく、会社のことを考えた取締役選任案ではない」と憤る。 会社提案の採否が予断を許さない状況下で、ダイドーはなりふり構わぬ行動に打って出ている。 6月に入ると、ダイドーは議決権行使助言会社が会社提案への賛成を推奨していることを紹介したうえで、YouTubeに自社の主張を紹介する動画を投稿。さらにダイドーの労働組合やブルックス ブラザーズ従業員がSCの提案に反対意見を出したことなどを公表した。