航空自衛隊が誇る空飛ぶレーダーサイト「早期警戒機」の秘密に迫る!E-2C、E-2D、E-767って何が違うの?
坂:いえ。沖縄に来たのは今から約10年前です。 E-2Cを41年前に青森三沢基地へ配備したのは、ズバリ冷戦時代の対ソ連のためだった。10年前からの沖縄に配備されるようになったのは、尖閣問題以降飛来数が激増した、対中国ということになろう。 肝心なことがある。中国機が増えたからといって、その分ロシア軍機の飛来数が減るわけではない。両国からの飛来数を合わせれば着実に増加しているので、早期警戒機の拡充は急務なのだ。 F:実際にはどのようなタイミングで飛ぶのですか?地上のレーダーで監視していて、「国籍不明機が飛んできたぞ」となったら急いで飛び立つ感じですか? 坂:詳細なタイミングについてお答えすることはできません。対象機が低空に降りてしまったりすると、地上のレーダーではなかなか見づらいところが出てくるので、我々が上がって低い高度の航空機等を監視しています。 F:例えば先日の中国軍機による史上初の領空侵犯の時はどうしていたのですか?ここ(那覇基地)から飛んでいったのですか? 坂:申し訳ありませんが、お答えすることはできません。ただし、一般論で申し上げれば、距離が遠くなれば行き来の時間が長くなり、見る時間が限られるという制約もあります。 F:や、そうか。行くだけでなく帰ってこなければいけないから。 坂:そのとおりです。プロペラ機のE-2Cは飛行速度が遅いので、警戒監視に関しては同じところにゆっくり留まれる利点がありますが、距離が遠くなるとそこに行くまでの時間もかかるので、一長一短です。
● 早期警戒管制機 E-767 F:あと……AWACSというのもありますよね。 坂: AWACSとはAirborne Warning and Control Systemの略で、エーワックスと呼んでいます。日本語では「早期警戒管制機」です。アメリカのボーイング社の旅客機、B-767をベースに、警戒管制システムを搭載した早期警戒管制機です。ジェット機ですから速度が速く、航続時間も長い。だから遠隔地まで飛行して、長時間警戒することが可能です。 F:あ、旅客機の上に大きなレーダーが付いたアレですね。 坂:そうです。 F:E-767で後ろに乗っている方々は、レーダー監視を行うわけですね。 坂:はい。主にレーダーを見ている隊員が乗っています。地上のレーダーサイトがそっくりそのまま空を飛んでいるようなイメージです。 ● E-2CやE-2DとAWACSを併用する理由は? F:全部の警戒機を高性能なAWACSにした方が安全ではありませんか?全台入れ替えをしないのは予算の関係ですか? 坂:違います。詳細を述べることはできませんが、E-2C/DとAWACSは、機体性能、装備品の能力、運用要領等にそれぞれの利点と不利点があります。どちらか一方の選択肢ではなく、状況に応じて使い分けることで柔軟な運用が可能となるのです。 F:や、なるほど。 F:日常の訓練では、どのようなことをされているのですか? 坂:訓練は、ほとんど任務と同じ環境で行います。特に後ろに乗っているレーダー操作員は、自分たちが監視すべき環境がどういう状況にあるのか、常に情報をアップデートしていく必要があります。ですからいろんな方向に飛んでいって、現状を常に見ています。毎日いろんなところをまんべんなく飛ぶことで、ちょっとした変化も分かりやすくなりますので。