補助金でサウナ、フルーツサンド店が爆増…ダブついた「国の基金16兆円」の使われ方を知っていますか
コロナ禍に新設された基金事業の募集に“フルーツサンド屋”が殺到
一方、’23年度の補正予算案では歳出総額約13兆円のうち、新たに設けた4つの基金を含む31の基金に対して4兆3000億円を計上。先月11、12日に開かれた外部有識者を入れた政府の「行政事業レビュー」で基金の見直しを求める声が相次いだにもかかわらず、既存の27基金に多額の資金を積み増しした。 岸田文雄首相は11月20日の衆院代表質問で、野党議員の批判に対し「基金事業は真に必要なものに限って計上している」と説明したが、「必要な基金」はどれだけあるのか。 「基金にする必要のないものが、けっこう多いんですよ。私は、基金をつくることに賛成ではありませんが、国会で認められてできた以上は、せめて有意義にお金を使ってほしいと思っています。しかし残念ながら、不適切な事業者に補助金を出している例が見受けられます」 不適切な例が見られた基金事業として土居教授は、経産省が’20年度補正予算で新設した「中小企業等事業再構築促進基金」の事業を挙げる。経産省は独立行政法人の中小企業基盤整備機構にこの基金の運営を依頼したが、業務は再委託先の民間企業が担っている。 「コロナ禍を経て業種転換に取り組む中小企業を支援する補助金なんですが、応募してくる事業者の転換後の業種が極めて偏っていたことがありました。 第3回か4回の公募で、フルーツサンド屋の応募が殺到したんです。第8回はサウナで、第10回はシミュレーションゴルフ。裏でコンサルタントが暗躍していて、補助金ビジネスが横行しているのではないかと考えられます。 基金を持っている独立行政法人ではなく、業務を請け負った民間企業に問題があったわけですが、行政改革推進会議の秋のレビューで検証して、所管省庁としてしっかり監視するよう経産省に提言しました。 農水省の農業関係の基金も問題視しています。予算をとってあるものの支出先がほとんどなくて、残高が減らない。基金にする必要がなく、取り潰してもいいようなものもあります」 10月31日の参議院予算委員会で、蓮舫議員が「190の基金事業を洗えば、16.6兆円のうち数兆円規模で眠っているお金を国庫に返納させることができる」と指摘した。数兆円と言わず、もっと国庫返納できないのか。 「潰す気があれば、できると思いますよ。私の見立てで言えば、財務省はおそらく潰したいはずです。とはいえ、バックに政治家がいるから、露骨に『返せ』とは言わないでしょう。 現在ある186基金のうち、相当部分は国庫に返納して問題ないと思います。使われず使用見込みもない基金は、返納を求めるべきです」