補助金でサウナ、フルーツサンド店が爆増…ダブついた「国の基金16兆円」の使われ方を知っていますか
菅前総理の鶴の一声でつくられた「グリーンイノベーション基金」は総額2兆円
国が積み立てた「基金」の残高がとんでもない額になっている。’22年度末の時点で、総額は約16兆6000億円だ。 【なぜ!?】河野大臣が絶賛…! 3000人の村に「10億円の交付金」… なぜ、基金の残高はこれほどまで膨らんだのか。こんな大金が使われずにたまっているなら、政府肝いりの「異次元の少子化対策」にあててはどうなのか。そもそも、国の基金は何のためにあるのか。 行政改革推進会議や財政制度等審議会の委員などを務める慶応大学経済学部の土居丈朗教授は、次のように説明する。 「基金は経済対策などの多年度にわたる事業に使うためにあり、独立行政法人や公益法人など省庁とは別の外郭団体につくられます。 国の予算は年度内に使い切るのが原則で、たとえば’21年に徴収した税金を’23年まで繰り越して使うことは通常許されていません。では、’23年に使いたい場合はどうするか。’21年に集めた税金を、基金を置く外郭団体に支出し、’21年度内に国から支出したことにするんです。 外郭団体に基金を置いておくと、その団体がいつ基金から支出しようが、国会の審議を経る必要がありません。極端なことを言えば、何年もため込んでおけて、好きな時に使えるわけです」 ’22年度末の時点で、13府省庁が設置する基金は186基金ある。国のルールでは、10年を超えない範囲で基金の終了年度を明示しなければならないが、約3割が未定だという。 「現在のような基金の仕組みが多用され始めたのは、リーマンショックの時です。景気対策で、今より額は小さかったけれども億単位の基金がつくられました。 コロナ禍以降は、規模ありきの経済対策が繰り返される中で、何十兆円という金額が補正予算で組まれ、巨額の基金が相次いで新設されました。基金も当初予算に計上するのが本来のあり方ですが、実際は査定の甘い補正予算に盛り込まれることがほとんどです。 186の基金の中には農水省のTPP(環太平洋経済連携協定)対策関連の基金も多少はありますが、金額はせいぜい数百億円。大きいのはやはり経産省の基金で、たとえば菅(義偉)前総理の鶴の一声で’20年度につくられた、脱炭素投資を促す『グリーンイノベーション基金』は総額が2兆円です。こういう金額の大きい基金がコロナ禍に増えました」 基金への予算措置は、’19年度以前は数千億円~1兆円だったが、コロナ禍の経済対策事業で’20年度は11兆5000億円と急増。’22年度も10兆6000億円にのぼった。 その結果、’19年度末に約2兆4000億円だった基金残高は、’20年度末に約8兆3000億円、’21年度末に約12兆9000億円に。そして、’22年度末には約16兆6000億円に達している。