イベント名に「母親」付くのはおかしいのでは… 女性の社会参加掲げた名称、「場違いな感じで…」男性からも異議 時代の波受け変更へ
長野県の「母親コーラスまつり」、誰でも参加しやすいよう改称へ
長野県内の合唱グループが日頃の成果を発表する「県母親コーラスまつり」(運営委員会主催)が本年度から「県コーラスまつり」に改称する。「女性の社会参画」を掲げて半世紀以上続いた名称だが、「『母』でなくても参加していいですか?」との声も寄せられるように。子どもがいない人や男性も含め、多様な立場の人が歌いやすいようにと、主催者側は「母親」の文言を削除することにした。 【グラフ】あなたはなぜ専業主婦に?全国の母親に聞いた、それぞれの理由
女性の社会参加や「母親の資質高める」のが目的
県内5地区(北信、上小、佐久、中信、南信)ごとに、今年は10~11月に開く県母親コーラスまつりは1960(昭和35)年、県教育委員会や信濃毎日新聞社が主体となって松本市で初めて開催。県内各地でPTA活動を機に集まった母親たちの間で合唱に取り組む動きが盛んになったことが背景にある。まつりの目的には当時、女性の社会参加や、「母親の資質を高める」ことも掲げられていた。
名前のおかげで家族の理解得られた人も
「女性が家庭を出て好きなことをするのはかつては大変な時代もあった」。約30年前からまつりに参加する柳節子さん(72)=飯山市=は振り返る。自身は保育士の仕事の合間を縫って、4人の子どもと夫の食事を用意した上で練習に参加。年に一度の「晴れ舞台」を目指してきた。「母親」という名称があったからこそ、周囲から他の母親も参加している活動だと認識してもらいやすく「家族の理解も得られ、名前に救われてきた女性は多いと思う」と話す。
高齢化進み、新型コロナで参加者減少
だが、まつりの参加者は年々高齢化が進み、2020年からの新型コロナウイルス感染拡大で減少した。コロナ前の18年に2千人余りいた参加者は、規模縮小などを経て3年ぶりに通常開催となった21年には1400人に。22、23年もコロナ前には届かず、ピークの80年代と比べると3割ほどに落ち込んだ。 まつりには男性の参加者もおり、運営委によると「男性も参加するのに『母親』はおかしいのでは」と数年前から名称変更を求める声があった。賛同者はいたがすぐに結論は出ず、運営委は昨年、地区ごとに1年かけて名称変更を検討することを決めた。