クルマのインパネ、デジタルよりアナログが使いやすい? タッチパネルと物理スイッチの関係を考察!
クルマのIT化とともに、コックピットにタッチパネル式ディスプレイを採用した新型車が数多く登場している。しかし、近頃は再び物理スイッチの採用車を評価する動きも出ている。アナログとデジタルの関係性はどのように変化しているのか、永遠のテーマにモータージャーナリストの原アキラが切り込む! 【写真たっぷり】ホンダSシリーズ、シトロエン ID19に、サイバートラックも!? 超マニアックなコクピット写真がこちら!(全30枚)
欧州では今後、物理スイッチ「有」が評価される?
最新EVなどの車内では、大型のタッチパネルに操作系を集約することで、物理スイッチのない室内構成になっているものが増えてきた。見た目がシンプルでスマートなインテリアは先進感があってステキだし、メーカーにとってもコストをかけずにいろんな操作ができたり、ソフトのバージョンアップが簡単に行えたりと有利な点があって、そちらに進んでいこうという姿勢はわからないでもない。 これに対してヨーロッパの自動車安全評価機関が実施するユーロNCAP(ヨーロッパ新車アセスメントプログラム)は、2026年以降に生産されるクルマに対して、ウインカー、ワイパー、ハザード、ホーン、SOSコールという主要機能に関しては、タッチパネルではなくボタンやダイヤル、レバーなどの物理スイッチを割り当てないと最高評価が得られない、との提言を発表している。 あくまで評価基準なので法的にどうこういうわけではないのだが、クルマを製造するメーカーは今後、これを意識せざるを得ないだろう。
デジタル派は“タブレット型”と“全面型”の2つに
タッチパネルでほぼ全ての操作を行うテスラが登場したときには本当にびっくりさせられたものだが、ちょっと前のモデルにはステアリング横にシフトとウインカーのレバーがまだあった。しかし最新の「モデル3」や「サイバートラック」にはそれがなく、ステアリングとタッチパネルだけという徹底的に物理スイッチを廃したデザインを採用している。テスラらしさを表現するためには、ユーロNCAPを意識する必要はない、との判断かもしれない。 ボルボの新型EV「EX30」も、ダッシュ中央に大型のタッチパネルだけを搭載して北欧家具を思わせるようなシンプルなデザインとなっているけれども、シフトやウインカーレバーがしっかりと存在しているところを見ると、提言を意識した仕様になっているようだ。ジャパンモビリティショーで見たBMWやマツダのコンセプトカーも同じようなシンプルなダッシュボードを採用していて、そちらの方向に進んでいきそうな感じではあった。 一方で、ダッシュボード全面を高精細なパネルでカバーしているのがメルセデスの「Sクラス」や「Eクラス」、また日本では先ごろ惜しまれつつディスコンとなってしまったホンダeなどだ。 前者は認識能力の正確さが初期のものに比べて格段に高まった音声入力によって、深い階層を辿ることなく様々な操作が可能になっている。また、肝心の安全面での操作はレバーやボタンで行うレイアウトを採用しており、さすがメルセデス、と呼べるレベルをキープしている。 ホンダの画面はエンターテインメント性を重要視した作りとなっていて、運転に関するものはスイッチやダイヤルによって行う上手なレイアウトになっていた。