映画『デッドプール&ウルヴァリン』はお祭り的な面白さ!
ハリウッドでは“ヒーロー映画”が、ある種の飽和状態。それはそれでセレクトが多くなって嬉しいものだが、人気がキープされるためには、超個性、特別感が求められる。デッドプールはそんなヒーローの一人。新作では、もう一人の“特別な”彼とのタッグが実現し、ファンを歓喜させている! これまで『デッドプール』は2本の映画が日本でも大ヒット。しかしその後、製作する20世紀フォックスがディズニーの傘下に入ったことで、不安の声が上がった。デッドプールといえば、極端な悪ノリや下ネタ、血みどろの残虐シーンなど、ディズニーというブランドにはふさわしくない内容が持ち味。スタジオの買収劇でデッドプールの個性も抑えられてしまうかも……との予感を、この新作はあっさり裏切ってくれる。むしろ劇中で買収劇を“ネタ”にして爆笑を誘うなど、やりたい放題の姿勢は加速した印象だ。もちろん危険なギャグ&描写もたっぷり。『マッドマックス』など他社の作品も暴走気味に引用するなど、忖度ナシの展開で楽しませてくれる。 今回のストーリーでは、近年のマーベル映画でおなじみのマルチバースが重要な設定。大切な仲間との生活を守りたいデッドプール=ウェイドが、死んだはずのウルヴァリンを別バースで探し、あるミッションを完遂しようとする。要所の過激なアクションで、他の作品とは別種のアドレナリンが上がるが、やはり今回の最大の見どころは、デッドプールとディズニーのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の完全合体によって、多くのヒーローが関わってくるところ。さらに過去の“忘れられた”キャラに活躍の場を与えたりするのだが、そのキャラや、カメオ出演が誰かわからなくても痛快に見せてしまうのが、いかにも『デッドプール』らしい(もちろん元ネタがわかれば最高に面白い!)。相変わらず音楽の使い方も快調だし、エンドロールでは思わぬ感動に誘われたりと、とにかくサービス精神満点。サマームービーらしい“お祭り”的な仕上がりだ。 『デッドプール&ウルヴァリン』公開中 製作・脚本・出演/ライアン・レイノルズ 監督/ショーン・レビ 出演/ヒュー・ジャックマン、エマ・コーリン、マシュー・マクファディン、モリーナ・バッカリン 配給/ディズニー 2024年/アメリカ/上映時間128分
文/斉藤博昭 text:Hiroaki Saito