<歴史に挑戦・24センバツ明豊>/上 勝負どころの踏ん張り 「本気の本気」を浸透 /大分
3月18日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)が開幕する。3年ぶり6回目の出場となる明豊(別府市)は、前回出場時に準優勝を果たした。その活躍に憧れて入部した選手は今回、先輩の作った実績を超えることを目指し、練習に励んでいる。歴史を塗り替えようと挑戦する姿を追った。【神山恵】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 明豊は、2023年秋の九州地区大会で8季ぶりに決勝に進出。準決勝までの3試合では先制して試合の流れをつかみ、計35安打放つなど強打ぶりを発揮した。 また、準決勝の東海大福岡(福岡)戦では、1番・木村留偉(2年)らの俊足を生かし、6安打ながら5点を挙げるなど足を絡めた攻撃も見せた。 だが、決勝では熊本国府(熊本)に先制を許すと、最後までリズムをつかめず、1―5で敗れた。主将の山内真南斗(2年)は「追いつけると思ったが、要所を押さえられ、八回に突き放された。このままでは全国大会で勝てないと感じた」と振り返る。 決勝の打線は、相手右腕の丁寧にコースを突く投球に対し、早いカウントで打ちにいって凡打に終わる場面が目立った。5番・船見侑良(同)は「追いつけないまま、試合の後半に入り、焦って難しい球に手を出した」と分析する。2番・高木真心(しん)(同)も「相手の変化球が良いので、変化する前を狙って早めに振りにいったが、とらえきれなかった」と話し、好不調の激しさを露呈。勝負どころでの踏ん張りに課題を残した。 勝負どころの難しさを感じたのは、この時だけではない。 「夏は終盤に逆転された」。2月上旬、グラウンドで円になったチームメートを前に、山内が厳しい表情で口にしたのは、昨夏の甲子園1回戦の経験だ。2点リードのまま、九回2アウトを迎えたが、土壇場で追いつかれ、タイブレークの末、サヨナラ負けした。当時、山内を含む2年生7人がメンバー入りしていたが、終盤の試合運びの重要性を痛感したという。 敗戦からの「学び」を生かすため、山内はチームの目指す方向性を「流れが来た時に確実に点を取る。でなければ走者を塁に出し、相手のテンポにさせない」と語る。 センバツ出場が決まった際、川崎絢平監督は「豪快な明豊らしい野球をして優勝を目指したい」と語った。山内は「本気の本気で日本一を目指す空気をチーム全体に浸透させたい。優勝を目指す以上甘いことは言っていられない」と話し、チームの空気が緩まないよう、あえて厳しい発言をする「憎まれ役」を務めている。(敬称略)