【社会人野球】創部7年で激戦区の北関東を制したエイジェック野球部の進化。来季日本一を目指して
社会人野球の名門、日立製作所、日本製鉄鹿島、SUBARUの強豪が揃う都市対抗北関東予選において、2024年の第一代表を掴んだのは創部7年目のエイジェックだった。エイジェックは2018年に創部し2021年に都市対抗本戦に初出場、2023年に日本選手権本戦に初出場、そして2024年には念願の都市対抗本戦で初勝利を飾った。伝統と歴史ある企業が集う社会人野球界において、驚異的なスピードで進化を遂げるエイジェックの2024年を追った。 【写真】エイジェック・ユースの監督を務める元・西武ドラ1の中﨑雄太 「一(いち)~変化を恐れず進化せよ~」というスローガンのもと、「日本一」「一投」「一打」を意識し、変化を恐れず「一歩」踏み出すことを指針として歩み始めた。 しかし、4月に行われたJABA足利市長杯、JABA日立市長杯で未勝利に終わる厳しいスタートとなったが、4月末の都市対抗野球栃木県予選を優勝すると、チームは波に乗る。 6月に行われた都市対抗野球北関東大会では、1回戦で茨城日産に競り勝ち、準決勝で強豪・日立製作所を逆転サヨナラで下すと決勝ではSUBARUを4対1で破り、創部初となる第一代表での本戦出場を決めた。 栃木県予選は2年目の河北将太がMVP、北関東大会は5年目の金城乃亜がMVPに輝くなど、先発の二枚看板が機能した裏には、6年目の安藤幸太郎、新人の川端秀悟らリリーフ陣の奮闘が激闘の予選を3連勝で突破した要因であろう。 本戦では出場33回を誇る日本製鉄瀬戸内を中盤の集中打で逆転し、5対4で勝利。エイジェックの都市対抗本戦初勝利になるとともに、栃木県勢74年ぶりの勝利となった。2回戦では名門の日本通運に敗れたが、地元栃木を中心に本戦2試合で約10,000人の大応援団が形成され、その盛り上がりは野球ファンの間で話題となった。 都市対抗を終え、難波貴司監督は「今後、次の景色を見に行けるような、優勝候補と呼ばれるチームをつくりたい」と話し、京橋幸多郎主将は「自分たちの現在地が分かった。もっと個々のレベルアップをして日本一を目指す」と目標を口にした。 9月に行われた日本選手権大会関東予選では日立製作所に敗れ、2年連続の日本選手権大会本戦への出場はならなかった。都市対抗予選で破った相手だったが、「いつも以上にチーム全体で向かってきた印象があり、上手く攻略されてしまった」と、難波監督は相手の地力を称えた。 オフの社会人野球ベストナインの選考では4年目の岡島颯(捕手部門)、新人の髙岡佳将(二塁手部門)、片平吉信(外野手部門)の3名が一次選考を突破するなど、今季躍進を見せた選手も多い。 さらに2024年、エイジェックはグループの取組みとしてスポーツサイエンス事業を始動させた。栃木県栃木市に『スポーツ科学総合センター』を開設しフィジカルやテクニックのデータ測定、分析、解析が可能な施設運営を開始し、現役の野球部員と野球部を勇退し社業に専念するOB選手達が施設を活用した企画、運営、管理など業務に取組んでいる。トラックマンやラプソードなど最新機器を導入しているその国内最大級の施設は選手個々の能力を上げ、チームの戦略意識を高め、エイジェック野球部進化の象徴的な施設になる事は間違いないであろう。 チーム統括を務める小池康之さんは「東京ドームでの初勝利は日頃から応援いただく関係者の方とグループ全体にも勇気と感動、勢いを与えてくれました。選手達が社員として社業と野球部活動において個々の役割を理解し全うしてくれた結果であるとうれしく思います。グループとしてはこれからも社員のキャリア推進と魅力ある環境を創り続けたいと思っています」と語った。 来季も新たなメンバーを迎え、日本一を目指し、進化を続けるエイジェック硬式野球部の戦いに注目したい。
アスリートマガジン編集部