深刻、雑誌不況 今こそ問われるネットメディアの編集能力
編集能力の低下に警鐘鳴らす声も
情報の鮮度や入手のしやすさなどで圧倒的に強いネットが紙を駆逐していく構図は今後も変わることはないだろうが、急速な紙の衰退は編集能力の低下を招くとして警鐘を鳴らす声もある。 「ネットには編集者不要論というのがありますが、きちんとした編集者のチェックを受けている出版物の供給が質量ともに減ることで正しい知識や情報を伝える基盤が脆弱になる危険があります。ネットメディアはまだまだ玉石混交の状況です。出版社や新聞社などで基礎を身に着けた編集者がいなかったり、校正校閲担当を置かなかったり、紙媒体の経験者でも編集者としての矜持とネットのマーケティング感覚のバランスをうまく取れないケースもあります。また、そもそもネットを利用することができない情報弱者の知識獲得手段が奪われることへの懸念も無視できません」(前出・編集者) 今年はコロナ禍にあって多くの業界が甚大な影響を受けた年でもあったが、果たして来年はどうなるか。雑誌文化が生き残る道は見つかるか。 (文:志和浩司)