「移民・難民をアフリカの収容所へ」......知られざる欧州の国々の「転換」、受け入れの理念から強硬策へ
デンマークは2021年、自国での難民申請者を国外に移送して収容することを可能にする法律を可決し、2022年にはアフリカのルワンダと、同国に難民申請者を移送する計画について合意した。2023年にいったん棚上げしたが、2024年になって他のEU加盟国と協調して、第3国に移送する計画の実現を探っている。 オランダもアフリカ系の不認定者をウガンダに移送することを検討している。 2024年5月には、ポーランド、デンマーク、オランダなどEU加盟国の15カ国が、「不法移民に対処するための新たな解決」を求める共同書簡を発表した。EU圏境の出入国管理の強化のほか、EU圏外の国に難民申請者を移送する措置についてもEUに提案している。
EU加盟国ではないが、英国もルワンダに収容所を設置し、難民申請者を移送する計画を2022年4月、ボリス・ジョンソン首相(当時)が発表し、ルワンダ側に2億4000万ポンド(約490億円)を支払い、収容施設の建設も始まっていたが、2024年7月に政権交代した労働党のキア・スターマー首相は計画の撤回を発表した。 イタリアは、難民認定されることがほぼない「安全な出身国」から来た不法移民の男性を、アルバニアに建設した収容施設に収容することとし、2024年10月16日、16人を移送した。
しかし、そのうち、未成年者など4人をイタリアに戻し、さらにローマ地方裁判所が、残りのエジプト、バングラディシュ出身の男性12人をイタリア本国に移送するように命じた。両国が「安全な出身国」ではないから、という判決理由だった。イタリア政府は控訴するなど、この移送措置を継続する道を探っている。 イタリアの移送措置は難航しているが、EU15カ国の共同書簡には、難民申請者の移送を定めたイタリア―アルバニア間の議定書はモデルの一つとうたわれており、いくつかの加盟国は、こうしたやり方を模索していくことになるだろう。