「1年間をやり切るだけ」宮里美香は産休復帰後最高の7位で最終日へ
◇国内女子◇住友生命Vitalityレディス東海クラシック 2日目(14日)◇新南愛知CC美浜C(愛知)◇6560yd(パー72)◇晴れ(観衆7902人) 【画像】愛息を抱きしめて満面の笑み 9月半ばというのに、この日も気温30℃を超えた。午前中に雨が降り、その後晴れ渡ったコースは蒸し暑さを増す中で、34歳のママさんゴルファーがボギーなしの「68」をマーク。産休制度により、今季シード選手として復帰した宮里美香は「ノーボギーなのがうれしいですね。ゴルフになってきたかなって感じです」と喜んだ。
今大会は同じ沖縄出身の先輩男子プロ・正岡竜二に帯同キャディを初めてお願いした。「ラフからの打ち方や、ヘッドの入れ方とかいろいろ教えてくれるんです。本当に勉強になります」。2010、13年「日本女子オープン」を、12年には米ツアー「セーフウェイクラシック」も制したキャリアがあっても、ゴルファーとして成長できることは、まだまだ楽しい。 2022年12月に長男を出産し、故郷沖縄開幕の今季開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」でカムバックした。「本当に試行錯誤。未知の世界。1年を戦えるのかなと思っていた」。最大の懸案は暑さだった。暑さ慣れのため、開幕前の2月にタイで“短期合宿”を張ったが、シーズンに入ると不安は的中した。
開幕から出場11試合で予選落ち8回。「ハーフターン後に疲れがドッと出る」と言い、体力が18ホールもたない。長男は保育園に通うようになり、母に育児や主婦業を助けてもらっているものの、すべての時間をゴルフには使えない。 「みんなと同じことができない以上、省エネしかないですから」と大会中のスタート前練習はウェッジ、アイアン、ウッド系、ドライバーで満足いくショットが出ると、切り上げ、体力を温存するようにした。ラウンド後の練習はなしで宿舎に戻り、コンディショニングに努めた。そして、今大会で出場5試合連続の予選通過。ようやくペースをつかんできた。
現在のメルセデスランキングは77位。シーズン終盤戦を迎え、来季シードが獲得できる50位以内に入れるかは、微妙な状況だ。しかし、実はそこは考えていない。「今年はとにかく1年間、試合に出るということだけを決めています。まずシーズンを最後までやりきる。来年のことはそこから考えます」。首位と6打差、通算6アンダーの7位。ツアー復帰後、最高の順位で迎える最終日も、宮里はよりよいゴルファーになることだけを考えてプレーする。(愛知県美浜町/加藤裕一)