帝拳ジム・長野ハルさん死去 99歳 山中、村田らに母親のように慕われた女性マネジャー
プロボクシング帝拳ジムの女性マネジャー、長野ハルさんが1日の午後8時40分、老衰のため亡くなった。99歳だった。5日、同ジムが発表した。故人の遺志により葬儀は近親者のみで執り行われる。 長野さんは1948年に実践女子専門学校卒業後、「銀座で働きたい」という希望を持っていた中「ボクシング協会というところで事務員を探している」という友人の話を聞き帝拳ジムに就職。当時の会長で、日本プロボクシング協会初代会長でもあった本田明の秘書となった。明会長が65年7月に64歳で死去した後、高校生でジムの後継者となった次男の明彦現会長を支え続けた。 70年10月にジム初の世界王者となったWBA世界フライ級王者・大場政夫の育成にも尽力。その愛弟子が73年1月の5度目の防衛戦後に交通事故で早世する悲劇にも見舞われたが、以降はWBC世界スーパーライト級元王者の浜田剛史ら多くの世界王者育成に貢献。生涯独身で、70年以上にわたって名門ジムの運営を支え、山中慎介、村田諒太ら多くの世界王者から母親のように慕われた。02年にはWBCからその功績を称えられ、日本人女性初となる特別表彰をされた。 現役マネジャーとして、昨年もジムや試合会場で仕事をこなしていたが、秋に体調を崩してからは自宅で療養中だった。今年4月に迎える、100歳を目前にした大往生だった。 ▼帝拳ジム・浜田剛史代表 自分が上京した17歳の時、53歳の長野マネジャーと出会った。当時、東京・王子にあったジムの合宿所にいた頃、マネジャーは隣の部屋に住んでいた。僕は部屋にカーテンをしていなかったので生活が丸見え。何を食べて何時に寝ているか全て分かる。就寝時間が午後10時を過ぎてしまうこともあり、翌朝に叱られることも多く厳しい母親のような存在。起きている間は常にボクシングのことを考えていた人。ようやくゆっくり休めるのではないかと思う。