【中山金杯・レース回顧】アルナシームVの要因は藤岡佑介のパーフェクト騎乗とデキの良さに加えて…
[GⅢ中山金杯=2025年1月5日(日曜)中山競馬場、芝内2000メートル(4歳上)] 【渡辺薫&柏木集保 私たちはこう見た】 渡辺 テレビ中継の画面がアップになると芝が掘れて飛び散っているのがハッキリと見えていた。だいぶ荒れてきた馬場を考慮すると前半1000メートル58秒7、1400メートル=1分22秒4は相当に厳しい流れだ。 柏木 〝先行抜け出しタイプ〟が揃ったので早めのペースは予想通りといえば予想通りなんですが…。古馬のレースなのでガリガリとした競り合いは避けて流れはむしろ落ち着くとみましたが、読み違えましたね。 渡辺 ハナに立ったクリスマスパレードは、同じ中山2000メートルでGⅡ紫苑Sを1分56秒6のレコードで勝ったが、当時は秋開催の高速馬場。今日の馬場でこのペースで粘れなかったのは仕方がない。 柏木 逃げが作戦だったかは分かりませんが、馬が随分と気負っていましたね。秋華賞は2番手から自分がつぶしに動きましたが、今回は逆につぶされる形。好位で折り合えるようになれば、まだ見限れません。 渡辺 そんな展開がドンピシャではまったのが中団で虎視眈々と脚をためていたアルナシームだ。藤岡佑の騎乗もパーフェクトだったが、58キロを背負って1馬身1/4差は完勝といえる。明けて6歳だが、段階的に力をつけてきたタイプだな。 柏木 デキも良かったですね。2000メートルの勝利は今回が初めてですが、お父さんのモーリスも5歳秋になって天皇賞・秋と香港Cを勝ちました。年齢とともに距離をこなせることに違和感はないですし、この勝利は決してフロックではありません。 渡辺 2着はその勝ち馬の直後でレースを進めていたマイネルモーント。少し時計がかかる馬場が向いたことは間違いない。 柏木 いかにもなゴールドシップ産駒、といえますね。それに丹内くんも上手に乗りました。〝オジサン〟が多いメンバー構成の中で5歳馬が自己ベストを0秒4更新しての好走は今後に向けて明るい材料です。 渡辺 ボーンディスウェイは去年が55キロで4着、今年は57キロで3着だから、6歳を迎えて充実期に入ったようだ。 柏木 行きたいクチの中では一番スムーズなレースができましたね。ドイツ由来の母系でハーツクライ産駒ですから、まだ伸びしろが見込めます。 渡辺 案外だったのがホウオウビスケッツ。有馬記念が除外で予定が延びたのが影響したのかもしれないな。 柏木 基本重量が重くなったとはいえ、やはり59・5キロは厳しかったですね。真っ先に止まりましたから。 渡辺 逃げて善戦だった毎日王冠、天皇賞・秋とは馬場もペースも違ったからな。 柏木 天皇賞・秋の前半1000メートル59秒9は誰でも粘れるスローペース。しかも勝ち切ったわけではありません。本質的には函館記念のような馬場と展開の方が合っていそうですね。
東スポ競馬編集部