「(全日本選手権は)誰が勝ってもおかしくない」坂本花織が語った…日本女子が躍動したGPファイナルで見えた“ジュニアとシニアの違い”
フリーで本領を見せた、シニアらしい滑り
だがシニア女子がシニアたる本領を発揮して見せてくれたのは、フリーにおいてだった。2分40秒のSPに比べ、4分間(ジュニアは3分半)のフリーはスケーティングの質を見せ、音楽を表現する余裕もより長い。 またシニアには、ジュニアのフリーにないステップシークエンスがあり、特に後半でその見せ場で盛り上げるためには、SPに必要な瞬発力とはまた違う、鍛え上げられたスタミナとスケーティングスキルが必要とされる。 優勝したアンバー・グレン、3位だった坂本花織、総合4位だった樋口新葉のベテラン勢は、氷にブレードがしっかりと乗った爽快なスピードと重厚感を見せ、ここ1年で急成長を見せた千葉百音は丁寧な中にも流れを途切れさせない安定感が印象的だった。
坂本に「ジュニアとシニアの違い」を聞くと…?
坂本に改めて、ジュニアとシニアの違う部分を聞いてみた。 「ショートはむしろジュニアの方が優勝者の点数は高かったし……でもやっぱりフリーになるとコンポーネンツの部分で、シニアの選手は今まで積み重ねてきた部分だったり、スケーティングスキル、表現に対しての気持ちっていうのが、シニアの方があるのかなと……」 坂本の言うように、ジュニアの選手は指導された通りにこなしているという滑りだが、シニアになって経験を積むごとにプログラムに自分らしさが加わってくる。坂本の今季のフリー「シカゴ」は、有名なブロードウェイの振付師ボブ・フォッシーのモチーフを基礎にした作品だが、坂本はしっかりそれを自分で消化し、坂本らしい「シカゴ」を完成させた。
「全く楽しめず、ド緊張の中でやると思います」
20日から大阪の門真市で開催される全日本選手権では、本大会のメダリスト3人を含むジュニアのトップ選手たちもシニアに参戦する。 過去2シーズン、総合3位だった16歳の島田麻央は「(濱田美栄)先生からも今回の試合を見て、滑りがすごくシニアに比べて小さいと言われたので、もっと滑りを大きくして、ジャンプも最小限のミスに抑えることが大事なんじゃないかなと思います」と意欲を見せた。 一方4連覇のかかる坂本花織は、「誰が勝ってもおかしくない状況で、いかに自分の力を出せるかというのが、本当に全日本は特に大事になると思うので、全く楽しめず、ド緊張の中でやると思います」とコメント。 「もちろん優勝したい気持ちはありますけど、(目指すところが)4連覇というのはちょっと違う。そこにフォーカスしないでほしい」と強調した。 2023/2024シーズンからISUは段階を踏んで国際大会でのシニアに上がる年齢を15歳から17歳へと引き上げた。その結果、15歳の少女と25歳のベテランが同じ土俵で戦う必要はなくなり、ジュニアとシニアの違い、それぞれの長所がより明確に見えるようになった。 そんな中で、全日本選手権はジュニアとシニアが一緒に戦う貴重な舞台となる。どの選手もそれぞれの長所を生かして、素晴らしい戦いを繰り広げてほしい。
(「フィギュアスケート、氷上の華」田村明子 = 文)
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