中絶の権利は?体外受精は認められる?トランプ新政権下で気になる女性の権利
体外受精費用
体外受精もまた、米国で最も議論にあがるテーマのひとつだ。ピューリタニズムの強いアメリカでは、生殖補助医療のために胚を凍結させるこの方法を否定的に見る人もいる。どんな形の家族でも使用できるこの技術は、凍結胚、片親家族、LGBTQ+カップルの要素もからんで倫理上の議論が避けられない。道徳的な問題に加え、体外受精は米国で自費治療となるため、社会的不平等の問題も指摘されている。2024年8月29日、ドナルド・トランプは体外受精の費用を政府か保険会社が全額負担することに賛成すると発言して有権者を驚かせた。この発言に対し、一部の共和党員から裏切り者と非難する声があがった。
安全な国
10月30日、トランプはウィスコンシン州での集会で「女性が好むと好まざるとにかかわらず、私は女性を守る」と述べた。この発言は、ピューリタニズムが支配的なアメリカの田舎に住む女性たちや、もっと安全な国を夢見る女性たちに向けたものだ。トランプはすでに勝利宣言を行なっているが、武器を所有する「基本的な自由」を認めつつ、安全な国を強調することで多くの女性有権者の心を掴んだ。 その他、ドナルド・トランプの公約には「男性が女性のスポーツに参加できないようにする」とあり、LGBTQ+コミュニティを狙い撃ちしている。要は自らを家族や宗教を中心とした伝統的価値観の守護者と位置づけているのだ。性転換には絶対反対の立場を取り、「性転換手術への資金提供」を禁止し、性転換への意識を高めることを目的とした学校でのプログラムや取り組みもすべて禁止すると主張している。フランスの法曹シンクタンク「クラブ・デ・ジュリスト」のウェブサイトによれば、こうした手術への対応は州によって異なる。「(米国52州中)20州では、トランスジェンダーの子どもが性転換するために必要な医療行為へのアクセスを制限または禁止する法律が可決されている。(中略)公的医療保険(メディケイド)の費用負担も認められないなど、成人の場合も制限がかかる」とのこと。トランプ本人は一切の禁止を望んでいる。
text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr)