国際リニアコライダー計画で会見(全文1)ILCをつくらないと知ることできない
素粒子の加速器は1920年代から小型のものがつくられてきた
グラショー:それでは少しお話をいたしたいと思いますけれども、基礎科学について話をするようにということも言われていますので、基礎科学の話から始めたいと思います。19世紀の時代というのは「電気による革命」の時代でした。そしてアンペアですとかファラデーですとかマクスウェルとかウォルターといった科学者たちが電気に関する理論を構築しました。そしてそれが電気によるモーターですとか、電気の照明、洗濯機、それからエアコンそして電報、そしてまた20世紀に至ってはラジオ、テレビなどで使われるようになっています。 20世紀には「量子の革命」が起こりまして、十何人もの科学者たち、その中にはボーア、それからシュレディンガー、【Heisenberg 00:12:40】が含まれますけれども原子の性質についての理論を構築しました。非常に革命的な時代でレーザーやトランジスタ、それから医学で使われるスキャナーなどが発明されましたし、それが携帯電話ですとかデジタルカメラにもつながって、今の生活でも使われています。 そして今、21世紀においては3つ目の革命、「情報革命」が起こっています。情報の理論によって、AIそれからロボット手術、それから暗号鍵を使った個人でも使える暗号化、仮想通貨、ブロックチェーンといった技術が今でも現在進行中で開発されています。ただ、今日は加速器のお話をすることになっていますので、ILCのお話をしたいと思います。ILCのお話の前に加速器についてですけれども、素粒子を加速させるという加速器は、1920年代から小型のものがつくられていました。それがどんどんと大型化していきまして、ジュネーブにある大型ハドロンコライダーは、周囲が17キロメートルにもなります。 3万台ほどの素粒子というのが世界中にありますけれども、ほとんどが科学で使われているものではなく、産業用途、医学、それから診断用、治療用に使われているものです。そして基礎研究、基礎科学で使われている加速器の数というのは極めて少ない数しかありません。その中でも特別な加速器である国際リニアコライダーですが、なぜ今日、この場でILCのお話をしているのか。そしてなぜ日本がILCの建築を検討しているのかということについてです。