国際リニアコライダー計画で会見(全文1)ILCをつくらないと知ることできない
ヒッグス粒子が2012年に発見されて舞台が整った
電子、それから陽電子を衝突させるという加速器というのは以前もありましたし、またリニアコライダーというものも以前、つくられていました。しかしながら高エネルギーの電子・陽電子衝突型の加速器というものはまだつくられていません。 そして「ヒッグスボソン」というものが予言されていまして、理論の中で大変特別な役割を果たしています。また標準治療の中では最後まで確認されていなかった素粒子ですけれども、ジュネーブのセルンで2012年に発見されました。それで舞台が整って、ILCということになります。ILCというのは、ですから、正しい機械が正しいときに登場したということになります。ヒッグスボソン、あるいはそうであると思われる粒子が本当にあるのかという研究をすることができますし、そういった研究を行っていく中で、ヒッグスボソンというのは1つだけなのか、それとも2つあるのか。あるいはチャージされたものもあるのか。ニュートラルなものもあるのかといったことが分かるでしょう。それはILCをつくらなければ知ることができない。ILCをつくることによって初めて分かることができるのです。 それからまた、標準理論というのが正しいかどうか。それを確認することも可能になるでしょう。あるいは何か新しいものが見つかるかもしれません。素粒子物理学者というのは科学者の中では奇妙な人たちで、普通、科学者というのは自分が考えた理論というのがなんとか正しいものであってほしいと悩み、そして希望するものなんですけれども、素粒子物理学者は標準理論というのを間違っていてほしいと思っています。というのも、答えが見つかっていない質問が非常に多くあるからです。まだ非常に多くの疑問が残っています。ILCによってそういった疑問についての答えが見つかることを期待しています。 例えば超対称性の粒子についても、50年前にそういうものがあると予言されていますけれども、実際にそういった新しいタイプの素粒子があるのか、ILCによって発見をすることができるかもしれません。ドイツ、アメリカ、ヨーロッパの科学者が、今までずっとそういった新しいソリューションを探していますけれども、見つけることができていません。でも日本で、ILCで発見に至るかもしれません。ICLというのは絶対につくらなければいけないものです。ぜひつくられることを願っています。また、つくられるとすれば、日本学術会議が日本でつくるということをぜひ承認してくださっていることを願いたいと思います。 できた暁には国際的な研究所になるでしょう。私のアメリカの友人たちも、ヨーロッパの友人たちも、ぜひILCで仕事をしたいというふうに楽しいにしています。国際的な支持を受けた研究所になることと思います。ぜひ日本には、勇気と英知を持ってこの、絶対に欠かすことのできない機械をつくっていただきたいと思っています。 素粒子物理学の分野では長年にわたってアメリカが先端を走ってきましたけれども、それを引き継いで日本が先端を走ることになられることを願っています。ありがとうございました。 【連載】国際リニアコライダー計画で会見(全文2)へ続く