消費意欲も旺盛「デジタルノマド」を誘致しようと世界で争奪戦【WBS】
「デジタルノマド」という言葉をご存知でしょうか?「ノマド」は、遊牧民を意味する英語で、このデジタルノマドは、ITを活用して、世界各国を移動しながらリモートで働く人のことを言います。このデジタルノマドを誘致しようと、世界で争奪戦が始まっていて、日本でも来月から新たな在留資格を創設する方向で検討を始めています。どのような狙いがあるのでしょうか。現場を取材しました。 【動画】「デジタルノマド」在留資格見直し 滞在期間6カ月に拡大へ 都内のシェアオフィスでパソコンに向かうのは、イタリア人のララさんとアメリカ人のクリスさんです。 「肥満対策などの栄養アドバイザーをしている。オンラインで完結する」(ララさん) 「ソフトウェアエンジニアをしている」(クリスさん) 彼らは、日本に旅行者として入国し滞在しつつ、リモートワークで海外の企業などで働くデジタルノマドです。世界におよそ3500万人いるとも言われます。 実は今、デジタルノマドの人たちにとって、日本は人気だと言います。 「なんといっても安全だし、人も優しい。電車も時間通りに来る。イタリアなら5分遅れでも『時間通り』となるから」(ララさん) デジタルノマドの人たちが日本に滞在することは、日本の経済にとってメリットもあります。 「12月以降、毎週末スノーボードに行っている」(クリスさん) クリスさんは休みの日には、日本各地を旅するといいます。日本デジタルノマド協会の調査では、デジタルノマドの月収は平均80万円ほどで、消費意欲も旺盛です。 「アメリカは物価高で外食も行きづらい。日本だったら昼も夜も外食を楽しめる。われわれは消費するだけで日本人の雇用を奪ってはいない。長期の出張のようなもの」(クリスさん)
実は今、クリスさんやララさんのようなデジタルノマドの人たちの来日を後押しするため、政府も動き出しています。今月、政府はデジタルノマドの人たちが、現状よりも長く日本に滞在するための新たな制度案を発表しました。 現状は旅行者として入国し、滞在期間は最長3カ月しか認められていません。新制度案では、デジタルノマドに6カ月の在留資格を与えます。対象はアメリカ、イギリス、韓国など現在でもビザなしで入国できるなどの条件をクリアした49の国や地域の人で、中国やロシアなどはこの対象ではありません。年収が1000万円以上であることなども要件です。政府は来月末にも、新制度を開始したい考えです。 元電通社員で、デジタルノマド誘致に向けたコンサルティング会社を起業した大瀬良亮さん。自身も日本や世界中を飛び回るデジタルノマドです。新制度は新たなビジネスが生まれるきっかけにも繋がると指摘します 「素敵な滞在をさせてもらった場所に感謝をしたい。そういった気持ちを強く持っている人が多いのがデジタルノマド。自分が持っている高いスキル、それこそウェブのスキルとか、ヨガとかそういったものが地域にとって新しい体験になるんだったら『喜んでやるよ』という人たちがたくさんいて、それが何か日本にとっても新しい交流の機会になっていくのは本当に楽しみ」(大瀬良さん)