資生堂EMEAのフレグランス事業トップが語る他社との差別化 メリハリのあるポートフォリオと年に1度のローンチ
ーーここ数年のフレグランス事業部の年商の推移は?
トゥイル:グローバルの2022年度の売上高は前年比12%増、23年度は同22%増。
ーーフレグランス事業部のトップ3市場は?今後強化したい市場は?
トゥイル:ビジネス全体の6割を占めるのがEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)。中でも、フランス、イギリス、イタリア、ドイツが大きな市場だ。北米も主要市場で、トラベルリテールも各国の市場を補完する市場として重要だ。欧米や中東は長年ビジネスをしている成熟した市場。中南米やアジアパシフィック、中国の市場は2ケタ成長しているので、さらに、浸透させていきたい。日本におけるビジネスの割合は、1位がスキンケア、2位がメイクアップ、3位がフレグランス。フレグランスに関しては、前年上期と比べると2ケタ伸長しているので、まだまだ伸びると思う。
ブランドに絞った打ち出しでメッセージを届ける
ーー競合企業は?それらとどのように戦うか?
トゥイル:「シャネル(CHANEL)」「ディオール(DIOR)」などファッションとつながりのあるラグジュアリー・ブランドをはじめ、ニッチブランド全てが競合。我々は、他社とアプローチが異なり、パーソナリティーの訴求に注力している。表現の仕方も異なるし、消費者との対話を重視している。だから、全てのブランドで新作を毎年出すわけではなく、ブランドを絞って新作を発表。各ブランドが伝えたいメッセージにフォーカスして、アイコニックなブランドに育てている。例えば、「イッセイ ミヤケ」では、1994年に“ロードゥ イッセイ”を発売し、今年新作の“ル セルドゥ イッセイ”を出したが、時代のニーズに合わせてブランドを育ててきた。また、セレブリティーを広告に使用しない点も差別化のポイントだ。それよりも、クリエイティビティーや革新性といった面でブランドのメッセージを伝えている。「ナルシソ ロドリゲス」は、フェミニニティーを追求し、女性が持つ内なる強さを香りで表現。ムスクがシグニチャーで、女性をエンパワーメントするような香りだ。「ザディグ&ヴォルテール(ZADIG & VOLTAIRE)」はヨーロピアンテイストで、ロックンロールなイメージだ。