資生堂EMEAのフレグランス事業トップが語る他社との差別化 メリハリのあるポートフォリオと年に1度のローンチ
ーー展開しているフレグランスのビジネスシェアは?
トゥイル:「イッセイ ミヤケ」と「ナルシソ ロドリゲス」の構成比が大きく同じ程度。その次が「ザディグ & ヴォルテール」。今はヨーロッパ中心の販売だが、オーストラリアやニュージーランド、韓国、中南米など販路を広げ、来年にはグローバルローンチを予定している。
フレグランスは記憶に残るエキサイティングな商材
ーー日本におけるビジネス戦略は?課題と強化点は?
トゥイル:日本の消費者の行動様式は他国と異なる。フレグランス部門は2ケタ成長しており、消費者のマインドが変化していると感じる。消費者との対話を通してエモーショナルな最高の製品を提供することで、消費者のフレグランスに対する感覚を変えていきたい。若い世代はいろいろな香を楽しむ傾向にあるのでターゲットを絞って訴求していきたい。また、日本市場に合う商品のカスタマイズなどにもチャレンジする。
ーー今後、どのようにポートフォリオを強化していくか?
トゥイル:現在展開しているブランドを補完するような新しいブランドを追加していく。新たに契約を結ぶ予定の「マックスマーラ(MAX MARA)」は日本市場における歴史が長く、資生堂の価値観とも親和性がある。
ーーここ数年のフレグランス市場の動向をどのように分析するか?
トゥイル:コロナ禍で伸びたカテゴリーは、唯一フレグランス。スキンケアはシワ改善など効果が感じられる処方を期待されるし、メイクは色味や発色などが重要視される。一方で、フレグランスは、感情に訴えかける商材だ。香りは、場所や人を思い出させる。形のないものだが心に直結しており、記憶に残るエキサイティングなものだ。女性は、アイデンティティーの表現にフレグランスを使うことが多いが、男性は、魅力を伝えるためのものとして選ぶケースが多い。今後、フレグランス市場は、デジタライゼーションによりワクワクした状況になるはずだ。AIなどを活用したテーラーメード、パーソナライズドといったサービスも増えるだろう。