次期代表監督と言われるアギーレ氏の目指すサッカーとは
基本フォーメーションはザッケローニ体制下と変わらないものの、ボールを敵陣で保持し、サイドを起点にスピードとテクニック、アジリティー、組織力を駆使して相手ゴールを陥れる前任者の戦い方とは大きく異なってくる。最大の違いは、ワントップの選手を攻撃のキーマンと据えていた点となる。 ■“腹心中の腹心” フィジカルコーチのイリバレン氏 ガルシアは今年6月に31歳となったが、アギーレ政権下ではコンスタントに試合出場を果たしている。モレーロ記者はガルシアを含めたベテラン選手に故障が少なかった理由として、フィジカルコーチのフアン・イリバレン・モラス氏の存在を上げる。「ベテラン選手が筋肉系の故障をほとんど起こさなかったことは、フィジカルコーチがしっかりしていたからに他ならない。その意味で、イリバレンの功績は大きいと思う」。 アギーレ氏はオサスナの監督に就任した2002年に、当時オサスナのBチームでフィジカルコーチを務めていたイリバレン氏の確かな手腕と卓越した理論に一目ぼれ。すぐにトップチームに引き抜き、以来、メキシコ代表を含めたすべてのチームでコンビを組んできた。いわば腹心中の腹心であり、2人の絆の強さはアギーレ氏がエスパニョール監督に就任した2012年に、イリバレン氏をポーランドのチームからわざわざ引き抜いたことからも伝わってくる。知り合って12年。あうんの呼吸で通じ合うアギーレ氏の監督としての能力を、イリバレン氏はこう語る。 「オサスナのような小さなクラブをUEFAチャンピオンズリーグ出場権が得られる4位に導いたことが、彼の手腕の高さを証明している。それが評価されてアトレティコ・マドリーのような名門チームへ一緒に行くことができ、そこでもUEFAチャンピオンズリーグ出場権を獲得できた。彼はFWには速さがあって積極的で勇敢な選手を、MFには特に守備の仕事ができる選手を、DFには組織でしっかりと守れる選手を必要としてきた。堅守速攻も特徴的な戦術のひとつだが、必要なときはボールをキープしてゲームをコントロールさせる。非常に勉強熱心で責任感も強く、新しいものへの研究も常に欠かさない監督だ」。