センバツ高校野球 豊川 あの悔しさ、忘れない 昨秋、星稜に大敗 スコアを表示、ナイン奮起 /愛知
あの悔しさを忘れるな――。10年ぶり2回目のセンバツ出場を果たす豊川は、昨年秋の明治神宮大会の準決勝で星稜(石川)に3―15と大敗した。校内グラウンドのスコアボードにはその時の得点経過が表示され、選手たちは悔しさをバネに練習に打ち込んでいる。【塚本紘平】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 昨年秋の愛知県大会で準優勝し、その後の東海大会を制した豊川の勢いは、全国の強豪が集まる明治神宮大会でも止まらなかった。初戦となる準々決勝での高知との対戦。序盤に4点リードされるも打線の粘りで終盤に追いつき、延長十一回9―8でサヨナラ勝ちした。 そして準決勝で迎えた星稜戦。強打の相手打線に投手陣が打ち込まれ、スコアボードには一回から四回まで2、6、3、4と毎回数字が並んだ。好調だった打線も3点を奪うのがやっと。屈辱の五回コールド負けだった。 「スコアボードにあの試合の得点を掲げていいですか」。明治神宮大会終了直後の昨年11月下旬、武市啓志コーチは長谷川裕記監督に提案した。「選手たちがいつでも見られる状態にしておくことで全国で負けることの悔しさを忘れないでほしかった」。武市コーチは提案の理由をこう話す。 選手たちはスコアボードに気持ちを奮い立たせた。森陸(だいち)(2年)は「スコアを見ればあの試合を思い出す。甲子園ではもう二度とあのような試合をしてはいけないと思い、やる気になる」、三浦康生(2年)は「一目であの日の悔しさがよみがえる。甲子園で星稜と当たったらリベンジしたい」と誓う。選手たちが練習でミスをしたり、気持ちの入っていないプレーをしたりすると、武市コーチから「あのスコアを見ろ」とげきが飛ぶ。 長谷川監督は「神宮で4強入りしたが、実力的にはまだまだ。この結果で満足せず、あの敗戦を糧に練習に励んでほしい」と気を引き締める。