柴田理恵 病で母が要介護4に。仕事を辞めて東京に引き取るか、それとも片道3時間の遠距離介護か…迷ったとき思い出した母の力強い言葉とは
内閣府発行の「令和4年版高齢社会白書」によると、介護保険制度にて要介護または要支援の認定を受けた65歳以上の人は、655.8万人におよぶそうです。そのようななか「親の介護はある日突然やってきます。私の場合もそうでした」と語るのは女優の柴田理恵さん。富山で一人暮らしをする柴田さんのお母さんは、腎盂炎で入院し、寝たきりの状態になってしまったそうで――。 【図】要支援・要介護のレベルとそれぞれの状態を確認! * * * * * * * ◆要介護4 2017年10月に母は腎盂炎(じんうえん)を発症し、入院することになりました。 最初に母の異変に気づいてくださったのはヘルパーさん。 母を病院に急ぎ連れていってくれたのは、母の生家の親戚であるヒトシ君でした。本当に感謝しかありません。 どうしても外せない仕事があり、私が駆けつけられたのは入院から3日後のことです。 そのときの母は、意識が朦朧(もうろう)としており、会話も難しい状態。 私も仕事の都合で1時間ほどしか滞在できず、後ろ髪を引かれる思いで東京に戻りました。 人間ってある日突然こんなことになっちゃうんだなぁ……、あまりの変わりように衝撃を受けました。 しかし、幸いなことに、抗生物質の投与などの治療が功を奏し、熱も下がって回復に向かいました。 最初に母を見舞ってから1週間。 やっと時間の都合ができたので、急いでまた富山の病院を訪ねました。 恐る恐る病室へ入ると、母は静かに横になっていました。 「お母さん」と、そっと声をかけると母はゆっくり目を開け、声のありかを少し探しました。視線が私をとらえると、「あぁ、理恵」と驚いた様子でゆっくり口を開きました。 「お母さん、わかる? 私のこと?」 「うん、わかる。あんたは理恵だ」 弱々しい声でしたが、母は確かに私を認め、はっきりとそう言いました。 「よかったあ、心配したんだよ。えらい目にあったね」 「なーに、まだ死にゃしないよ」 いつもの母の口調(ちょっと口が悪い!)に、これなら大丈夫、と心から安堵(あんど) しました。 ですが、だいぶ回復してきたとはいえ、病に侵(おか)された体は極度に弱ってしまい、その時点ではまだ一人だと何もできない寝たきりの状態でした。 そのタイミングでちょうど要介護認定の更新がありました。 その結果は、なんと「要介護4」。