「もっと気をつけて」と注意しても意味がない…仕事がデキる人が"ダメ出し"をする時に伝えている「2つのこと」
仕事で注意やダメ出しをする時に、効果的な伝え方はあるのか。コピーライターの藤田卓也さんは「『何かが足りない』と言われて前向きに頑張れるかというと難しい。注意をするときには、2つのことを伝えるのが大切だ」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、藤田卓也『伝え方で損する人 得する人』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。 ■「注意」は不可欠だが「叱ること」にメリットなし 注意は、人の成長に不可欠です。つい同じようなミスをしてしまう、対応の仕方を間違えてしまう、そんな思考や行動のクセが、指摘されることで修正されていくからです。自分だけでは気づきにくいクセや歪みを改善するきっかけとなるわけです。何が不足していて、どう対処すればいいのか。そのヒントとなるのが、注意なのです。 一方で、叱ることにメリットはありません。むしろネガティブな影響が多すぎるのです。例えば、代表的なものだけでもこんなにあります。 ・モチベーションの低下:行動を変えることより、回避を優先してしまう ・自信の喪失:頻繁に叱られるほど自己肯定感が下がってしまう ・防御的な態度の強化:前向きになれず、対話や改善が停滞してしまう ・ストレスの増加:本人はもちろん、それを聞いた周囲にもストレスに ・信頼関係の破壊:信頼が弱まり、お互いの協力が難しくなる ・創造性の抑制:新しいことに失敗はつきものなのに、リスクを避ける ・行動の一時的改善:一時的には効くものの、すぐ戻ってしまう ついつい「どうしてこんなこともできないんだ」と叱りたくなったのだとしたら、これらの失うものの多さを思い出してください。感情を込めたコミュニケーションは重要ですが、感情的ではダメなのです。 ■叱責しても状況は悪化するだけ およそ500もの会社の設立や育成に携わり、新しい一万円札に肖像として描かれている渋沢栄一が残した言葉の中に、「学ぶ事はすなわち行う事である。行う事はすなわち学ぶ事」という言葉があります。学ぶだけでは足りず、行動が伴って初めて意味がある。叱ることは行動を起こしづらくするので、学びをフィードバックしているように見えて真逆の結果を生んでいる、まさに損する伝え方です。 どうしても怒りをぶつけてしまいそうになったら、せめてお気持ち表明に留めましょう。私の今の感情はこうなっている、ということを表現するわけです。 例えば大きく予定が狂う事態になってしまって、「私はとても残念に感じています」と、あなたの感情を伝えるだけに留めておきましょう。「自分が何をしたか分かってるのか」などと叱責しても、ただ状況を悪化させるだけなのです。