新幹線開業60周年、日本の鉄道にほれ込んだ英国人ジャーナリストが旅した北陸ルート
――鉄道の乗車体験だけでなく、日本文化も満喫したそうですが、途中下車をしたのでしょうか。 もちろんです。いろんなところへ行きましたよ。 宇奈月温泉(富山県黒部市)では初めて温泉に入りました。お湯がすごく熱くて、足を入れてみてびっくりしました。お風呂から黒部峡谷と峡谷にかかる鉄橋が眺められて美しかったですね。 そのあと、金沢に行ってたくさん「金」を食べました。金箔がのったアイスクリームを食べて、金の入った緑茶を飲みました。楽しい体験でしたが、何より金沢の滞在を特別なものにしたのは、地元のツアーガイド、のぞみさんの存在です。エネルギーと情熱に満ちあふれている人でした。 金沢から輪島市へ行きました。(能登半島地震の)深刻な現状も伝えたいと思ったからです。 輪島に行ってみると、家々は破壊されていて、多くは片付けられずにそのままになっていました。大きなビルも横倒しになっていて、自分がとても小さく感じられる経験でした。 でも、私たちはそこから希望と復活、再建の物語も描きたいと考えました。 実際、すばらしいストーリーがありました。観光地として有名だった輪島朝市の焼け跡の真ん中に木が1本残っていて、人々はその木を復活と希望の象徴として保存しようとしていました。とてもいい話だと思いました。 当初は、地震の被災地に行くべきか、どうバランスを取るべきか悩みました。被災の度合いがあまりにもひどく、我々が収録に訪れることが「のぞき見」しているような、見るべきでないものを見ているように思われたくなかったからです。 でも私たちが現地で出会った人々は、私たちに「来てもらいたかった」と言ってくれました。来て、何が起きたか見て、自分たちの話を多く人に伝えて欲しいと言ってくれました。非常に心に響く体験でした。 その後、大阪へ向かいました。美しいものを見て、たくさんの経験をして充実した旅でした。その間、日本の伝統的な旅館に泊まったりして、古いものと新しいものが融合した私の大好きな日本が見られましたし、これは番組でも強調したいと思いました。