フランス内閣への不信任可決、58年以降最短で総辞職-混迷深まる恐れ
フランスの財政赤字は24年に国内総生産(GDP)比6.1%に達する見込み。大企業・富裕層増税を柱に606億ユーロ(約9兆5800億円)の収支改善策を盛り込んだ予算案が、バルニエ内閣を崩壊に追い込んだが、財政難の状況は変わっておらず、次の内閣も議会の反発と不信任のリスクに引き続きさらされる。
不信任可決後もバルニエ内閣は暫定内閣として執務を当面継続する。政府機関の閉鎖回避に向け、徴税を可能にする「特別法」の緊急措置や最低限の支出を認める法令での対応が可能だが、より広範な影響について予測は困難だ。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のシニア地理経済学アナリスト、アントニオ・バローゾ氏らは「政治的不確実性の高まりとスプレッド拡大、対象を絞らない著しい緊縮財政の組み合わせが、経済に大打撃を与える危険が主な脅威だ。成長鈍化は、税収をもたらす賃金と利益の減少を意味し、結果的に財政再建の動きが損なわれるだろう。全ては多くの痛みを伴うが、得るものは多くない状況となりかねない」と分析した。
新首相の決定に憲法上の期限はない。マクロン氏が再び議会の解散・総選挙を実施できるのは、前回の選挙から1年が経過した来年夏以降となる。
左派連合はマクロン氏に大統領辞任を求めているが、辞めさせる権限はない。次の大統領選は27年に予定される。
不信任決議案可決後、ユーロは対ドルでほぼ変わらずの1ユーロ=1.0514ドルで推移した。フランス国債先物は上げ幅を縮小した。
予算を巡る不透明感や政治的混乱を背景にフランス国債は、ドイツ国債などに対する上乗せ利回り(スプレッド)が拡大していた。
原題:French Far Right Joins Forces With Left to Topple Government (1)、France Plunges Deeper Into Crisis After Macron’s Premier Ousted(抜粋)