「示談してたのに…」は企業には一切関係ない。中居正広のCMを削除、「ソフトバンクの判断」が正しい理由とは?
さらに芸能人と企業の契約の場合は、「信義則違反」として「社会通念上、不適切または反社会的と見なされる行為を行った場合」「相手方の行動が社会的信用を損なう結果を引き起こした場合」といった契約解除条項が盛り込まれているから、取引停止もたやすい。 さらに取引停止によって人権蹂躙が温存されるとは考えにくい。だから芸能人の場合は、取引を止めることに躊躇がない。タレントは文字通り、社会からの信用を基にしている。
■思い出される、フワちゃんのCM削除 私は以前、東洋経済オンラインに「フワちゃんCM削除『Googleの判断』が妥当な理由 『やす子が許せば問題ない』とは企業は考えない」という記事を寄稿した。 一流女性芸能人が、おなじく一流女性芸能人にSNS(X)で暴言を吐いたことで炎上し、出演していたGoogleのCMが削除されたことについてのコラムだ。 Googleは企業行動規範に「Don't Be Evil」(邪悪になるな)と掲げていた。そしてAlphabetからは「Do the Right Thing」(正しいことをやろう)としている。
つまり、◯んでください、といった内容を投稿する行為と人物は邪悪であり、正しいことでもないと判断したのだろう……とこのコラムでは述べているのだが、ソフトバンクもGoogleと同様に、国際的に事業を行っている企業である。 そして、そもそも論であるが、企業は株主のものだ。 もし一流芸能人が人権ポリシーに反した発言をして、それに対して「その程度はいいんじゃないか」という擁護のコメントが出たとしても、その発言は世界中を飛び回り、企業の収益を毀損する可能性が高い。
そのとき、倫理的というより、単純にビジネスの論理として、発言主のタレントを排除する方向になるだろう。「その程度はいいんじゃないか」という擁護をする人は、収益の保証もしてくれないし、株主からの訴訟時にも守ってくれない。 だから結局は、企業の判断が尊重されるべきだ。この意味で企業がCMを削除した判断は、いい選択だったと外野は判断するしかないし、もちろん出演する側のタレントが、とやかく言えることでもない。