片岡千之助が語る初大河『光る君へ』〈道長に奪われ尽くした生涯〉21歳でこの世を去る敦康親王を演じて
◆撮影中は現場が落ち着く場所になる <ドラマの撮影は拘束時間が長くて大変かと思います。生活で気をつけていることやストレスの解消法はどんなことですか?> 気を付けていることは食事と睡眠。体調を崩さないことにも気をつかっています。ストレス発散は、サッカーを見たり、俳優仲間でフットサルしたりすることです。これも、めちゃめちゃ力を抜いて、怪我しないように注意します。 舞台や映像のなど何かしら仕事が入ってしまうと、私生活はきれいにまとまらない。精神は仕事のほうに行ってしまいますから。逆に、仕事をしている時の方が、気持ちが落ち着きます。仕事で忙しい時に休日がくると逆にあたふたしてしまう。 歌舞伎の舞台にしても同じです。何か私生活で嫌なことがあっても、舞台では全く別世界にひたることができます。「やり切ろう」という気持ちで落ち着く場所になる。大河ドラマでも、現場に身を置き他の出演者の方々のお芝居を見ていると落ち着きます。
◆大河ドラマで演じて得たもの <千之助さんは、歌舞伎やドラマ以外に映画、現代劇の舞台など活躍の場を広げ、表現者として鍛錬を重ねている。大河ドラマで演じて、歌舞伎役者として得たものは?> 歌舞伎は3歳の初御目見得から、かれこれ20年。そして2、3年前から映像の仕事を始め、今年は初めて現代劇の舞台をやりました。もちろん歌舞伎をメインとして表現するうえで自己形成しているけれど、歌舞伎を活かして別の場で表現できることはたくさんあると実感しています。 舞台は、歌舞伎だったらほぼ1ヵ月、毎日同じ役を演じます。初日と千穐楽では全くできが違ってくる。初日には新鮮さがあり、慣れていって千穐楽での一つの完成形となる。一方、映像は、その日その日が全て。アプローチの仕方は舞台と映像は別物です。『光る君へ』の撮影は、毎回常に実験。撮り直しは可能だが簡単にはできないですから、私生活でもずっと頭に「敦康親王」があります。 でも、両者に共通するのは「役の気持ちになる」ということだと改めて痛感しました。これからも大切にしていきたい。 (構成=山田道子)
片岡千之助
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