【解説】どうなる石破外交?米国・中国・韓国…3つの視点でひもとく2025年の展望
■激震の韓国社会…日韓関係はどうなる?――“少数与党では足元を見られる”指摘も
そして、12月に入りアメリカ、中国に加え大きな懸案となったのが韓国との関係だ。尹大統領が一時宣言した“戒厳令”を契機に、混乱を極める韓国政界。2025年1月上旬に予定されていた、石破首相の訪韓も中止となった。2025年は日韓国交正常化60年の節目となり、尹大統領を国賓として招待する案も水面下で検討されていただけに、外務省内には動揺が広がっている。 日韓関係は去年、岸田首相と尹大統領の良好な関係のもとに大きく改善を見せたが、仮に革新系の野党が政権をとれば根本から揺らぐ。ある外務省関係者は「日韓協力はリセットどころか逆行するだろう」と肩を落とす。一方、別の関係者は「歴史認識では厳しくなるが、安全保障面では現実を見て日韓協力を継続するのではないか」と分析している。 良好な日韓関係は日米韓3か国の関係も深めた。バイデン大統領は“異例”のおもてなしで、両首脳を“別荘”キャンプ・デービッドに招くなど、日米韓の関係改善はバイデン政権のレガシーの1つとなった。しかし、国際協調の枠組みを軽視するトランプ氏に加え、仮に革新系が政権を握り厳しい対日姿勢を取ったとすれば「日米韓の連携は崩れる」(外務省関係者)と心配する声が出ている。別の外務省関係者は「日米韓の関係が崩れれば、中国や軍事協力を深化させているロシアと北朝鮮が“暴発”し、東アジア情勢が緊迫化するかもしれない」と警鐘を鳴らしている。 2025年の世界秩序――それはトランプ氏の大統領再登板で大きく変容する。ある外務省幹部は石破外交について「政権の安定性と継続が外交にとっては重要だ。少数与党では足元を見られることもある」と指摘する。少数与党という厳しい状況が続く中、「石破流外交」でどれだけ成果をあげられるか、強いリーダーシップを期待したい。