【大人の熱海旅行】美食家を唸らせてきたイタリアンレストランで山海の幸に舌鼓
メインにオーダーしたのは、網代港で水揚げされたハモのフリット。オイルを纏ってコクを増したハモに、湯河原の水源地で育った天然のクレソンがピリリとした辛みと爽やかさを添えていた。味付けはオリーブオイルと黒胡椒、ミモレットをミモザで散らした塩気のみ。究極にシンプルなアレンジでありながら、思わず唸るほど素材の力強さが雄弁に語りかけてきた。料理はプリミティブに研ぎ澄まされるほど、創り手のセンスと自然へのリスペクトが不可欠なのだろう。午後の柔らかな光を眩しく見つめながら、大地と海が織りなす確かな命の輪郭を味わった。
【写真】オーナーシェフの清水正一さんが厳選したワインは、100種類を超えるラインナップ。今回のコース料理にふさわしいワインを清水さんが厳選してくれた。左はピノ・ノワールがエレガントな存在感を放つ「ロベール・シュビヨン2014」。右はここ10年で注目を集めるBIOの作り手、フランソワ・ミクルスキンによる「サントゥヴァン2018」。どちらもブルゴーニュ地方の優等生たちだ 「テール・エ・メール」 住所:静岡県熱海市渚町19-11 サンポート1階 電話:0557-82-7665(要予約) BY TAKAKO KABASAWA 樺澤貴子(かばさわ・たかこ) クリエイティブディレクター。女性誌や書籍の執筆・編集を中心に、企業のコンセプトワークや、日本の手仕事を礎とした商品企画なども手掛ける。5年前にミラノの朝市で見つけた白シャツを今も愛用(写真)。旅先で美しいデザインや、美味しいモノを発見することに情熱を注ぐ。