「『家族だんらん』わからない」「反吐が出るほど嫌」〝年末年始がつらい〟のに「楽しまないと」の圧力
もうすぐ年末年始。デパートのおせち商戦のニュース、クリスマスのデートスポットの紹介――。キラキラした街のムードに、置いてけぼりにされてしまうような気持ちになったことはありませんか。専門家は「年末年始をつらく感じる人は少なくない」と言います。声を集めました。(朝日新聞記者、関口佳代子)
「家族だんらんムード」とのズレ
都内でカウンセリングオフィスを営む公認心理師の植原亮太さんに話を聞きました。家族問題に取り組む、「ルポ 虐待サバイバー」の著者でもあります。「年末年始がつらい」という訴えをする人の多くは「元々持っている『居場所のない感覚』が、この時期に強くなる」と言います。 「世間が家族だんらんムードを押し付けてくるからでしょう。年末年始が近づくにつれ、おせちやクリスマス商戦のニュースが流れます。家族がクリスマスケーキやおせちを囲んで楽しそうにしている。恋人同士も親密に過ごしている――。人間は社会的な生き物ですから、メディアやSNSなどを通じて見せつけられる『社会の多数派』に沿おうとしてしまいます。しかし、自分はどこか周囲とは違うーー。そういうズレで苦しんでしまい、年末年始は家族との嫌な記憶を思い起こさせる時期になるのです」 「帰省しなくてはいけない、と思い悩む人もいます。家族を愛さなきゃいけない、と深刻に考えてしまうようです」 「年末年始がつらい」というテーマで朝日新聞がアンケートを募ったところ、親と顔を合わすのがつらい、家族だんらんの圧力を感じる、メディアから流れるニュースが苦手ーーなどの意見が寄せられました。 【アンケートはこちら】年末年始がつらい - フォーラム:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/opinion/forum/211/
複雑な家庭で育ち、「家族だんらん」わからない
◆奈良県 女性 40代 年末年始のあの独特な雰囲気が楽しいと感じることもあるが、同時に「楽しまないと」という圧力も感じる。元々自分の生活のペースがゆっくりな方なので、世の中のタイミングとのズレがたくさん生じてうまくいかなくなる。(仕事納めで前倒しで仕事する、病院にかかるタイミングなど) 私は虐待サバイバーというわけではないが、複雑な家庭で育ったため、「家族だんらん、帰省、親戚集まってワイワイ」の感覚がわからないし、実際そういうことをしたことがない。 いつも一緒に居るパートナーが帰省する時、どうしても寂しい気持ちになって、それを伝えてしまう自分にも罪悪感を感じる。(パートナーが帰省することは悪いことではないので)