拒食症を克服しコンテストでグランプリ獲得の27歳 「大会挑戦を通して完璧主義や自己嫌悪から脱却」
健康の大切さは失ってから気づくことも多い。自身の過酷な経験を経て、「健康の定義」を見つめ直した女性がいる。 【写真】内藤篤子さんが魅せた柔らかな曲線美 「中・高・大学と陸上競技に励んでいました。タイムを0.1秒でも縮めたいという思いから、もっと細くなれば速くなるかもしれないと食事量をどんどん減らしていくうちに、拒食症になってしまいました」
内藤篤子(ないとう・あつこ/27)さんは現在、新宿御苑で完全予約制パーソナルジム『Aglaiagym』を経営、整体師とパーソナルトレーナーとしてトレーニングとボディメイクを通じ人々の健康増進に取り組んでいる。職業を選んだ理由は、自身が陥った負のスパイラルを繰り返す人を、一人でも減らしたいという思いだ。 「私は完璧主義で、自分への理想とプレッシャーを強く持つタイプでした。また、陸上競技は自分の記録だけと戦う孤独な挑戦ということもあり、どんどん自分だけの世界にこもっていきました」 どれだけ成果を出しても満たされず、自分に自信がなかったことも摂食障害の引き金になったのではないかと語る。競技から離れて症状が落ち着いたあとも、喪失した自分への自信はなかなか払拭できなかったという。 「体育学部で人体機能学、解剖学、栄養学を学んでいたこともあり、トレーナーという道を選んだときも“お客さんの悩みと向き合うことで自分自身も前を向いてお客様とともに変わっていきたい”という気持ちでした。たとえば、“痩せたい”という悩みにも個人で千差万別の根本的な理由があります。その根本的な理由を深く聞き、何故変わりたいのかを理解した上で横で一緒に立って歩いていくというのが私の顧客との向き合い方です」 真正面から顧客の悩みと向き合うなかで、内藤さんは自分自身の自己嫌悪や焦燥感にも変化があったという。 「お客さんから、『内藤さんが輝いてると自分ももっと頑張ろうと思える。きれいになって、楽しく頑張っている姿を見ていたい』と言われ、自分自身をないがしろにしていたことに気づきました。そこで挑戦の一環としてボディコンテストへの出場を決めました」 内藤さんが出場を決めたのはベストボディ・ジャパン(以下、BBJ)。“健康的な美しさ”と“人それぞれに違う美の基準の尊重”を掲げる年齢別制のコンテスト団体だ。 「挑戦するにあたりともに戦う人たちの背景を知り、皆、色んな思いを乗せてチャレンジしていることを知りました。様々な過程があるなかで、ステージで“理想のなりたい自分”になることで自信を取り戻した人も多いです。私もまさにそうで、努力で培った身体で“自信に溢れた自分”を演じることで、プライベートの自分も少しずつ自信を得ていきました。今までの人生は美しさを求めるということとは無縁だったので、美しくステージアップした自分を見ることも自信につながりました」
内藤さんは今まで8回の大会出場をしている。その度に自分がアップグレードされていくのが楽しいという。10月12日(土)に開かれた『BBJ静岡大会』では、ミス・ベストボディ部門ガールズクラス(18歳~29歳)でグランプリを獲得、日本大会への切符を手にした。 「コンテストで結果を出し、心身ともに強くきれいになっていくたびにお客様からの反応も変わりました。闇雲にボディメイクをすると“自己嫌悪”や“焦り”という感情と密接に関わることが多いです。純粋に健康と理想の自分の追求を目指すお手伝いをするために、自分自身も頑張っている姿を見せていきたいです」
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代