「カツ丼は絶品」「パスタはなんと税込み138円!」…。北海道が誇る最強コンビニ「セコマ」。セブンの「上げ底疑惑騒動」のなか、改めて感じた“凄さ”
日本フランチャイズチェーン協会が発表した、2024年8月の国内コンビニ店舗数は5万5730店舗で前年同月よりも80店舗の減少。微減ではあるが、前年を下回るのは26カ月連続で、その数は天井に達している。 そうなってくると「店舗数を増やす」以外で、各社の魅力を向上させなければ、コンビニの今後の成長は難しくなってくる。そのときに重要なのが、「これでいい」ではなく「これがいい」と思わせるコンビニ作り。その意味で各コンビニの「ファン」をいかに作り、彼らを大事にしていくのかが重要になってくる。
セイコーマートが行っている「北海道民ファースト」の取り組みは、こうした「ファン作り」「ファンを大事にする」方向と合致しているだろう。 ■真に優れた企業は、ファンに「恩返し」をしている 『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』では、「社会に恩返ししよう」という章があり、援助する慈善事業やテーマを慎重に選び、それを企業カルチャーの一部として取り込んで長年にわたって継続すると、企業イメージの向上につながることを指摘している。
バンドが慈善ライブをすることはわかりやすい慈善事業だが(同書によると、グレイトフル・デッドは20年近くにわたって慈善ライブを開催し、寄付金を集めてきたという)、企業だって、ファンや地域に恩返しすることができないわけじゃない。 セコマがこれまで行ってきた数々の施策は、そんなことを教えてくれるのだ。 これらは数字にも如実に表れている。 セイコーマートは日本版顧客満足度調査で9年連続1位を獲得(ちなみに、セブン-イレブンはこの調査で3位以内に入らなかった)。また、ファンベースと日経クロストレンドが行う「顧客幸福度調査」でも1位を獲得している。
興味深いのは、この「顧客幸福度調査」では、コンビニが業界全体の中でも低い数値だったことだ。 この原因について日経クロストレンド編集部は「もはや電気、水道、ガスに近いインフラと化していて、便利に利用しているのに、気分が高揚する対象から外れてしまっているのかもしれない」と述べる。 確かにインフラに高揚感を覚えることは少ない。コンビニにおいて「ファン」を作ることはより一層難しいことなのだ。その中で、セイコーマートは確かに「ファン」を作り続けている。