「カツ丼は絶品」「パスタはなんと税込み138円!」…。北海道が誇る最強コンビニ「セコマ」。セブンの「上げ底疑惑騒動」のなか、改めて感じた“凄さ”
■地産地消のPB商品も魅力的すぎる… また、安さだけでなく、その素材においても道産素材を用いたものが多くみられるのも特徴で、地産地消的な色彩が強い。 地産地消で有名なのが、PBの牛乳だろう。 セイコーマートはこうしたPB商品を製造するグループ会社を、M&Aを通して多く所有しており、実質的に自社工場にてこれらの商品を生産している。 一般的なPBブランドは外部の向上に委託することが普通だが、自社工場での製造により価格を安く抑え、さらには地場の食材を使うことができるのだ。この光景はほとんど「製造小売業」のような姿さえ持っている。
これらの政策が功を奏しているのか、流通経済研究所主任研究員(当時)の池田満寿次は「お気に入りのセイコーマートのPB商品がある」人が22%に上ることを指摘し、セイコーマートは他のコンビニよりもPBブランドの訴求力が高いという(「有力コンビニ『セイコーマート』に見るPB戦略――PBが担う役割と、消費財流通への示唆」)。まさに「ファン」を根強く作り、彼らを満足させているのだ。 さまざまな戦略から、セイコーマートは「道民ファースト」の姿勢を強く持っていることがわかる。まさに「グレイトフル・デッド」的だ。
■生活インフラへの挑戦も このように「食のインフラ」として特筆すべきセイコーマートだが、同社では食に限らない「インフラ」整備を心がけている。コンビニを本当に各地域の「拠り所」にしようとしている。 例えば、あるセイコーマートの店内には「防災情報」として近隣での災害情報などを掲示する掲示板があった。実はセイコーマートなどは各自治体と協定を結んでおり、災害時の避難所や、シェルター的な役割を果たすことがある。
2018年の北海道胆振東部地震の際には、グループ会社である北海道ミネラルウォーターの工場をいち早く復旧、24時間体制で水を生産し続け、被災者に配布するなどの対応を行った。 また、各店舗では、電気や通信回線が使えなくても使える小型会計端末を全店舗に配布しており、そのため他のコンビニチェーンが閉店しているときも開店をした。北海道にあるセイコーマートの95%が営業を継続することができたのだ。 これらは、東日本大震災やその他の災害での経験からマニュアルを改定し続けたことにもよるというが、まさに「道民ファースト」の姿勢をよく表しているといえるだろう。