小学生の98.1%が公立小、第3の学校「オルタナティブスクール」増える背景と実態 カリキュラムの自由度や学びのスタイルも多様
少子化・大学入試の変化 選ばれる時代から選ぶ時代に
オルタナティブスクールが注目されている理由について炭谷氏は、少子化・大学全入時代という社会と教育の変化をあげ、学びの選択肢が多様化し、試験で選ばれる時代から、一人ひとりが自分に合った教育を選ぶ時代になったと言います。 すでに、私立大学の半数以上が定員割れしており、炭谷氏の言うように、受験生が大学を選ぶ時代に入っていると言えるでしょう。また、時代の変化とともに、大学入試もペーパーテストによる一般入試から、面接や小論文などで生徒の多面的な力や意欲を見る総合型選抜が広がっているのは、周知の通りです。 この背景には、大学側のより早く優秀で意欲のある学生を確保したいという思惑があるのは確かですが、それだけでなく、大学の質保証の認証評価でも、各大学独自の「アドミッションポリシー」を明確にしてそれにふさわしい選抜方法を取ることが国から求められており、大学入試のあり方がこれまでとは変わってきているのです。 一方、高校も通信制高校に進学する生徒数が年々増加しており、今年度の速報値で29万118人で、11人に1人の割合になっています(文部科学省「令和6年度学校基本調査(速報値)」)。 以前の記事でも書いたとおり、通信制高校が、上記の「不登校」また「不登校傾向」の生徒の受け皿になっているのは、間違いありませんが、急激に伸びている理由はそれだけではありません。コロナ後、学ぶ環境が大幅に変化し、一律の環境の中で過ごすことに抵抗を感じる生徒が増加したことも大きいでしょう。 通信制高校では、教科書による教科学習の時間を最低限にして、自ら興味のあることを探究する時間を多くとっているところが多いです。かつて、日本の教育改革は大学入試改革から始まると言われていましたが、それが社会構造の変化とともに加速しているのです。
選択肢が一番少ない小中学校に風穴をあける
そんな中、選択肢が最も少ないのが義務教育で、そこに風穴をあけるのがオルタナティブスクールなのです。 どのスクールも、画一的な一斉授業が中心の学校教育システムやペーパーテストで測られる偏差値型の目にみえる学力を重視する従来型の教育に疑問を持つ人たちが立ち上げているので、主体的に学ぶ力を育むことを重視しています。 学習指導要領に準拠する必要がないので、カリキュラムの自由度や学びのスタイルも多様ですが、自由進度学習や探究、自分の好きを見つけるマイプロジェクトの時間をとっているところが多いです。また、グローバル社会に対応するための英語の時間や海や川、山、公園など、スクールの立地を生かした独自のプログラムを実施するところ、モンテッソーリやイエナプランなどをベースにした教育を行っているところもあります。 小学校時代から探究をする重要性について、28年間の経験から炭谷氏は、「大切なのは、目に見えづらい力。余白を持って主体に取り組み、人と協力することで自己効力感が高まり、幸せで納得いく人生を送る根っこが育める」と言います。 しかし、今の子どもたちは、目にみえる学力を身に付けるために、塾や習い事で忙しく、まるで栄養ドリンクを飲みながら頑張っているようだと指摘します。