自民、政倫審への出席巡り世耕氏に「出席促す」→一転「予定ない」
自民党の派閥裏金事件について関係議員が弁明する衆院政治倫理審査会(政倫審)を巡り、党幹部の発言が混乱する一幕があった。坂本哲志国対委員長は10日午前、衆院にくら替えした世耕弘成・前党参院幹事長に出席を促す考えを示したが、午後になって説明を一転させ、「こちらから出席を促す予定はない」と訂正した。 当初の発言が出たのは、自民、公明両党の幹事長、国対委員長による10日朝の会談後。坂本氏は記者団に、政倫審への出席を促す対象者は「15人、あるいは16人」だと説明し、16人目は世耕氏かと問われると「そういうことだ」と述べた。 しかし同日午後、「世耕議員は先の通常国会で既に参院の政倫審に出席している。出席されるかどうかはご本人の判断になる」と述べ、午前中の発言について「訂正させてもらいたい」と記者団に申し入れた。 党幹部の一人は「執行部の一部に世耕氏も政倫審に出席した方がいいという意見があった」と混乱を招いた原因の一端を明かした。 旧安倍派「5人衆」の一人だった世耕氏は4月に離党。10月の衆院選和歌山2区で当選した。11月からは無所属のまま自民の衆院会派の一員となっている。 衆院政倫審は5月、旧安倍派を中心とした裏金議員のうち、弁明をしていない44人を審査対象にすると議決したが、いずれも出席しなかった。衆院選では44人のうち15人が再選された。 自民は「けじめ」をつけるため、弁明していない議員に出席を促しており、石破茂首相周辺は「15人中14人は出席することとなる方向だ」と語った。残る1人は「もう選挙も経たし、地元でも散々説明した」として出席に慎重な考えを示している。 首相は10日の衆院予算委員会で「最終的な判断は個人だが、自らが『そういうことはない』という場がわざわざあるわけだから、それは出るべきだ」と自主的な出席を求めた。 公明の斉藤鉄夫代表も同日の記者会見で「衆院選の結果、国民の民意はこの問題について決着したとは見ていない。誠実に国民の疑問に答えていただきたい」と述べ、衆院選を「みそぎ」とする考えを否定した。【森口沙織、野間口陽】