大林組・清水建設・長谷工…「地味で保守的」イメージ打破、ゼネコンがブランディング重点
長谷工コーポ CMで従業員を主役に
リズミカルなメロディーと覚えやすい歌詞が印象的な長谷工コーポレーションのテレビCM。社名の認知度獲得やブランドイメージの向上、社員のモチベーションアップなどを目的に、13年からシリーズで放送している。 同社は主力事業であるマンションの設計・施工に加えて、管理や修繕、仲介などを手がけている。PR戦略の強化は、こうしたBツーC(対消費者)向けのサービス関連事業の拡大を目指していた時期と重なる。若手社員からの「営業活動でもっと知名度がほしい」という要望に応えた格好だ。 出演しているのはグループ企業から選出された社員。視聴者に親近感を持ってもらう狙いに加えて、「真摯(しんし)にサービスを提供していく企業姿勢を表現するため」(広報部チーフスタッフの岡田糸恵さん)、あえて著名人ではなく、社員を主役に据えている。 実在する社員をモデルとする人形を使ったバージョンを含め、これまで20作品を制作。CM効果はてきめんで、放映以降の調査では、「若年層の認知度が向上しており、エリア別では地方で特に高まった」(同)。 「あのメロディーは当社の財産。できれば継続したい」と岡田さん。他社と一線を画すコンセプトを前面に押し出し、ブランドイメージの一層の浸透を目指す。
戸田建設 「攻め」の姿勢で存在感
戸田建設は昨秋、ブランドスローガン「Build the Culture.人がつくる。人でつくる。」をテーマとするCM放映を開始した。「認知度アップとリクルートが目的」(佐藤洋人広報部長)と話すように、ターゲットの若者を意識しつつ、幅広い年齢層で好感度が高い女優をメーンキャラクターに起用した。 PR強化に乗り出した背景には、準大手ゼネコンならではの微妙な立ち位置がある。リクルート活動では、一般的な知名度でBツーC企業に劣り、同じBツーB(企業間)であっても、より大手の企業に学生の目線が向きやすい。 「もっと存在感を示していく必要がある」(同)。今後さらに人材獲得競争が激しくなることを見越して、攻めの姿勢へと転換した。 CM放映は社内にも大きな変化をもたらした。若手社員からは、これまで放映してきた「建築」編の続編として、「土木」編の制作を要望する声が出ている。大谷清介社長がYouTubeの番組に出演するなど、他の媒体への露出も増やしている。 さまざまな効果を認識しつつ、佐藤部長は「発信した効果が世の中にどう捉えられたかをしっかりリサーチしていく」と強調する。今後はこうした結果を元に内容を充実させ、発信力を磨き上げる考えだ。