『シン・ゴジラ』『ゴジラ-1.0』監督らが明かす…70年前に誕生した「ゴジラのメインテーマ」が代替不可能である理由
藤井亮
でたらめな映像ばかり作っている僕が、伊福部音楽について語るなんて大変おこがましく、(僕を含む)ゴジラファンから怒られるのではと冷や汗をかきつつこの文を書いております。 そんな僕でも、やはり撮影の日、ミニチュアセットの前に立つと自然に頭の中で流れてくるテーマはやはりあの音楽です。 「猫ふんじゃった」も弾けない僕が唯一ピアノで弾ける、「♪ドシラ ドシラ ドシラソラシ ドシラ」の圧倒的なシンプルさと反復から生まれる肉体的な強さと高揚感は、ものづくりの理想的な姿でもあります。いつか、あのテーマ曲を使った特撮映画を僕自身も……などという大それた妄想と憧れを持ちながら、これからも聴き続けていきたいです。 映像作家・クリエイティブディレクター。 1979年愛知県生まれ、武蔵野美術大学・視覚伝達デザイン科卒。株式会社豪勢スタジオ代表。 考え抜かれたくだらないアイデアで遊び心あふれたコンテンツを生み出し話題を集める。 主な仕事に、NHK『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』、滋賀県『石田三成CM』、著書『ネガティブクリエイティブ つまらない人間こそおもしろいを生みだせる』(扶桑社)など。 「大嘘博物館」の展示プロデュースをはじめ、番組や書籍の制作から監督、脚本、アニメーション制作など、幅広いジャンルにおける「くだらないクリエイティブ」を手掛けている。
増子直純(怒髪天)
伊福部氏の作った「ゴジラ」の音楽は世界中の映画音楽の中で名曲と称される作品の一つである事は疑う余地も無い。あの曲を聴いた途端に目の前に巨大な怪獣が現れこちらに向かってくる様子がありありと脳内に浮かび上がる。人間との意思の疎通など微塵も感じさせない圧倒的な暴力、破壊が迫り来る恐怖をこんなにリアルに表現出来た音楽があっただろうか。初めて聴いたその日からこの曲はトラウマになる。人智の及ばぬ絶大な力になす術もなく狼狽える人類の焦燥すら感じ取れる実に奥深い楽曲なのだ。いかに音楽が進化してトレンドが移り行こうともあのゴジラの「恐怖」を表す音楽はこれしかないと断言できる。 怒髪天 増子直純 1966年、札幌市出身。怒髪天ボーカル。一度見たら忘れられないエモーショナルなライブスタイルと、その真逆をいく流暢なMCが混在するステージは圧巻。その気さくなキャラクターで「兄ィ」の愛称で親しまれている。また、お宝鑑定団へ出演する程のヘドラコレクターであり生粋のゲーマーでもある。 俳優としても活躍しており、近年では、映画『GOLDFISH』(2023年公開)や、ドラマ『季節のない街』(2024年テレビ東京)へ出演している。