三刀流に挑む、松重豊の覚悟──『劇映画 孤独のグルメ』は1月10日全国公開
人気ドラマが映画化され、『劇映画 孤独のグルメ』として、2025年1月10日に全国公開される。監督・脚本・主演の三刀流に挑む本人に訊いた。 【写真を見る】井之頭五郎「腹が……減った……」
松重豊が、自身の主演ドラマ「孤独のグルメ」を映画化した理由は、「決別が必要だったから」だという。 「テレビ東京の深夜ドラマが12年も続いて、自分と一心同体のようになっています。けれども僕には、渥美清さんが車寅次郎役をまっとうしたような俳優人生は送れない。いっそのこと、映画にすることで決別しようと思ったんです」 当初は、自身でメガホンをとることは考えていなかった。 「あのテレビ版のコンテンツを映画化することに無理があることは、自分が一番よくわかっています。だったらまったく別のものに作り変えてくれる監督にお願いしたくて、ポン・ジュノさんに手紙を書いたんです。でもスケジュールの関係でそれがかなわなかった。日本の監督だと、映画とテレビ、それぞれのシステムの相容れない部分が表面化すると思って、僕がやろうかな、とポロッとつぶやいたところから話がはじまりました」 監督業へのチャレンジは、「楽しいことばかりでした」と振り返る。 「アイデアを組み立ててシナリオを書いて、最後に役者さんの芝居でパーツがカチッとはまる。役者に戻るのは面白くない、と感じるくらいの醍醐味があります」 主題歌は、学生時代に下北沢の中華料理店で一緒にアルバイトをした甲本ヒロトに依頼した。 「もともと映画監督になりたくて上京して、40年ほど前にヒロト君に主演をお願いして自主制作映画を企画しました。それが頓挫して、二度と監督をやることはないと思っていましたが、こういう機会が来た。還暦というぐらいで、一周して元に戻っているし、隣にヒロト君もいるんだから、もう一回あのときに帰ればいいんだと思っています」 インタビューの最後に、「キャストも好きな人に集まってもらったし、僕ひとりではじめたプロジェクトなんで、全部の責任は自分で取ります」と、きっぱりと言い切った。
